この選挙結果の分析をめぐってはすでに様々なものが出ている。SNSの影響力が勝敗を分けたとするもの、これに関連してマスコミ不信が響いたとするもの等々、主としてメディアに絡むものが多い印象がある。
代表的なものにネットコミュニケーション研究所によるレポートがある(【兵庫県知事選挙2024】―ネットではどれくらい盛り上がったのか―【データ公開】2024年11月19日)。
同研究所は、斎藤氏は動画(YouTube、Instagram)において稲村氏を圧倒していたことに加え、斎藤氏を支持・支援するネットワークがYouTube上で大きな影響を及ぼしたと考えられると指摘した。
「特に、同じく立候補していた立花孝志氏は、自身のフォロワー数63万人を誇るYouTubeチャンネルで100本以上の動画を投稿し、これらは合計で1,500万回近く再生されました。また、立花氏公認の切り抜きチャンネルに加え、須田慎一郎氏や髙橋洋一氏による動画なども注目を集めました」と解説。
「先の衆院選において『裏金マーク』がネット上で炎上したように、マスコミに対する疑念の声が高まっていました。そうした中、斎藤氏を支援する目的で出馬した立花孝志氏は、自身の強力な発信力を活かし、『デマを流すマスメディアvs真実を伝えるネット』という対立構図に持ち込むことで、大きなうねりを作り出しました」と総括している。
「既得権益層」と「持たざる者」が選挙で争う時代に
筆者は、2019年の参議院選挙で躍進した新興政党とその社会的背景を論じた『山本太郎とN国党』(光文社新書)で、今後、公式的なマスコミ=オールドメディアと非公式的なマスコミ=ネットメディアを対立軸とする、「既得権益層」と「持たざる者」が敵・味方の陣営に分かれる「新しい戦線」が活性化していくだろうと予測した。
公式/非公式の区分けは先行研究を踏まえたもので、すでにネットメディアもマスコミと同様の力を持っていることを意味している。
「参政党」「日本保守党」の台頭、「国民民主党」の大躍進を見ると、この傾向はますます強まっており、今回の兵庫県知事選でもそれが顕著に表れたといえるだろう。
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