「起業したい会社員」は事業計画書なんかいらない 小さなお金で始められる起業でまず実務に慣れる
さて、次は下半分です。こちらは「今後、どのように収益を上げていくのか?」という経営の予想図です。つまり損益計算書ですね。これもシンプルな構造で、上から売上高、売上原価、そして経費の3つで構成されています。
この売上高から売上原価と経費を差し引くと、最終的に利益が残るという仕組みになっています。毎月の利益が自己資金に加わり、借金を返済するために使われることになります。利益がどれだけ出るかが重要ですね。
売上の計算は少し難しいです。でも、ざっくりで大丈夫です。例えば「1時間に何人のお客さまに商品やサービスを提供できるのか?」から計算してもいいですし、起業準備中の実績から類推してみてもいいです。ここで気をつけたいのは、どうしても「皮算用」になりがちなこと。なので、控えめに、謙虚に計算してみましょう。
収益の計算方法
それでは、計算について解説します(参考:日本政策金融公庫「各種書式ダウンロード(月別収支計画書記入例)」)。
(1)売上原価の算出
まず、同業他社の平均的な原価率や粗利益率を調べてみましょう。原価率とは、売上原価を売上高で割った値です。粗利益率とは、売上高から原価を引いた値を売上高で割った値です。この2つの割合を合計すると、必ず100%になります。
原価率=売上原価÷売上高 粗利益率=(売上高−原価)÷売上高 原価率+粗利益率=100%
(2)経費・販管費の算出
次に、経費や販管費を計算していきます。
①固定費の計算 固定費には、人件費、家賃、支払利息などが含まれます。これらの経費項目を洗い出し、月々の固定費を計算します。
②借入金と利息の計算 融資額、返済期間、利率を予測し、毎月の返済額と利息額を算出します。これにより、借入金の負担を具体的に把握できます。
③その他経費の計算 その他の経費についても計算が必要です。業種によって異なる項目が含まれますが、一般的には次のような経費が考えられます。
水道光熱費/通信費/交通費/消耗品費/交際費/広告宣伝費/保険料/外注費/運賃/荷造費など
これらを洗い出し、事業に必要な経費として記載します。
(3)必要売上高の算出
事業を続けるために必要な最低限の売上高を予測し、利益が出る売上高を計算します。例えば、固定費が60万円、粗利益率が60%の場合、必要な売上高は次のように算出されます。
必要売上高=(60万円)÷60%→100万円
さて、これらの計算、難しいし面倒でしょう? そう思った人こそ、こういった面倒な計算を必要としない、まずは手持ちの「小さなお金」で始められることを選んで、先に実務に慣れてください。
心配しなくても大丈夫です。こんなことが分からなくても、家計簿に毛が生えたくらいのことから始めることもできます。それがうまくいったら、専門家に相談したり、委託したりしながらやればいいのですから。
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