アイドルとしての理想に追いつかない。活動が重なるにつれて、だんだんと「眠れない日々」が続くようになった。
寝不足のために翌日も頭が働かず、パフォーマンスにも満足できない。いわば“負のスパイラル”に陥った当時、兒玉さんは「朝を迎えるのが怖かった」と振り返る。
出番の前には「子ども」のように泣きじゃくり
19歳の当時には、2016年6月に行われた「AKB48 45thシングル 選抜総選挙」で9位に。念願だった“初の選抜入り”を果たした。
壇上では喜びを口にした兒玉さんであったが、心中では「肩の荷がおりたわけではない」と本音も。
「順位への達成感があっても、自分を『もっと高めなければ』というプレッシャーは拭えなかったです。晴れ晴れとした景色が待っていたはずなのに、苦しさは続きました」と明かす。
そして、同年末には兒玉さんいわく「最後のとどめ」となった、ファンの多くが知る“大事件”が起きた。
2016年12月31日、20歳となった兒玉さんは『NHK紅白歌合戦』のステージにいた。
当時は、48グループのメンバーからえりすぐられた「夢の紅白選抜」の一員として出演。出演メンバー“48名”のうち、視聴者投票で選ばれた上位“16名”をカウントダウン形式で発表する企画が、生放送中に行われた。
最後、1位と2位が発表される場面に向けて、スタッフからは事前に「上位に入っていると思うメンバーはステージ中央へ行くように」と指示があったという。同年の選抜総選挙で好成績を残した兒玉さんは、勇んでステージ中央へと移動した。ところが……。
結果、29位の兒玉さんの名前が呼ばれることはなかった。
その後は「号泣した」と打ち明ける兒玉さんのもとには、アンチからの「兒玉遥、勘違いざまぁ!」「何様なんだこいつ」などの心ない声が、SNS経由で届いた。
「当時は、出番前に涙が止まらず、子どもみたいに泣きじゃくるのも日常茶飯事だったほど、心が弱りきっていたんです。状況を判断する能力がすっかり衰えていた時期のとどめとして、あの事件が起きてしまったんだと思います」
兒玉さんの心はすでに、限界へと近づいていたのか。
年が明けて、2017年2月からは1度目の休養へ。
わずか2カ月後に復帰してもなお、心身はすぐれなかった。
そして、21歳となっていた同年12月には再びの休養へと入り、そのままステージに戻ることなく、2019年6月には22歳でHKT48から卒業した。
*この記事の後編:「体重が20kgも増加して⋯」兒玉遥さん、うつの過酷すぎる体験
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