ヨーグレットの製菓会社「明治から独立」での変化 丸紅グループにとって菓子製造進出の第1号案件

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増加の一途を辿るM&Aだが、取材をしていると「一体どんなシナジーがあるんだろう」と疑問を感じてしまうようなケースもある。

「もしヨーグレットが、そんなゴタゴタに巻き込まれていたら嫌だな……」と、ヨーグレットを愛する子を持つ親として心配になった筆者だったが、話を聞いていくと、むしろ今回のM&Aは現場を活性化させる、ポジティブなものだったようだ。

ヨーグレットのグミ版
丸紅に譲渡された後に開発されたヨーグレットのグミ版(写真:アトリオン製菓提供)

営業を自分たちですることに…

2023年5月に明治から丸紅に譲渡され、明治産業は、丸紅の子会社「アトリオン製菓」として再出発した。同時に、ヨーグレットとハイレモンの商標権も同社に移譲された。明治の時代、両商品の製造拠点は何度か移転していたが、最終的に、国内で唯一製造を委託されていたからだ。

このときから、「明治のヨーグレット、ハイレモン」は、「アトリオン製菓のヨーグレット、ハイレモン」になった。

また、別の商品だが、ここ10年で売り上げが10倍に伸び、年間7億円を売り上げるようになった「パチパチパニック」も「アトリオン製菓のパチパチパニック」となった。こちらは、これまでは明治産業の独自ブランド「Meisan」の商品だったそうだ。

「Meisan」時代の旧パッケージと、「アトリオン製菓のパチパチパニック」になってからの新パッケージ
「Meisan」時代の旧パッケージ(左)と、「アトリオン製菓のパチパチパニック」になってからの新パッケージ。どちらもコーラ味(写真:アトリオン製菓提供)

さて、こうして新たな体制となって、最初に考えなくてはならなかったのは流通ルートの開拓だ。それまではいわば下請けのポジションで、明治のトラックに商品を渡して完了というビジネスが主であった。その後は明治の営業マンが、全国に売り歩いてくれていたのだ。

だが、丸紅の子会社として独立したからには、自分たちの手で全国のスーパーやコンビニエンスストアに届けなければならない。それは青天の霹靂とも言える変化だった。

ただ幸いだったのは、認知度の高いヨーグレットとハイレモンについて、多くの小売会社が販売を継続してくれたことだ。「明治様の下で40年以上、ブランドが育てられていたおかげです」と、丸紅から出向し、新たに社長に就任した山下奉丈さんは感謝を述べる。

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