「巨額赤字」日野自動車、大底脱すも見えない進路 財務指標は悪化の一途、統合の行方も見えず

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巨額の最終損失にもかかわらず、オンライン決算説明会はネガティブな雰囲気だけではなかった。

実のところ、アメリカ当局とは最終合意には至っていない。オーストラリアの集団訴訟も残っており、追加損失を計上する可能性はある。それでも中野靖CFO(最高財務責任者)は「一連の認証関連の大きな峠はここで越えた」と安堵を示した。

赤字の受け止めについて問われた中野CFOは、「2300億円という金額は、弊社の規模からしてかなり大きな数字だ」と前置きした上で、「(損失額を)公表したことによって過去の負債損失を少しは清算できるので、これからは前向きにやっていけると考えている」と期待をにじませた。

資金繰りについても、詳細は明かさなかったものの「すでに策を練っている」「そこはご安心いただいて、対応策が明らかになった時点で公表する」と言い切った。

営業利益予想は上方修正

本業にも好転の兆しがある。

主力のトラック・バスは国内で大型トラックが好調だったものの、経済が低迷するASEANが落ち込んだため、4~9月のグローバル販売台数は前年同期比5.3%減となった。だが、トヨタ向けの車両は14.6%増と大きく伸びたことに加え、値上げの浸透や円安の追い風もあり、中間期の営業利益は前年同期から約3.6倍となる240億円となった。

通期予想でも売上高は期初の1兆6000億円から1兆6500億円へ、営業利益は同200億円から300億円へと上方修正している。前期通期の営業利益が81億円の赤字だったことを考えると最悪期は脱しつつある。

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