最高哲学責任者(CPO)で会社はどう変わるか? エシックス(倫理)と資本主義を考える(4)

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ガブリエル:倫理資本主義を体系的に実現するための1つの始め方は、ビジネスコンサルタントを登用することでしょう。外部の専門家は最初に企業から学ばなければなりません。その後、社内にCPOを置く段階に進みます。

CPOは大学などで訓練を積み、哲学や倫理など学問領域の概念ツールを習得しています。神経科学、行動経済学、計量経済学なども学び、いろいろな概念を熟知しなくてはなりません。

それから実践に至るわけですが、ここでも問題が生じます。その時々に解決しようとする問題は企業によって千差万別です。AI企業では、インフラ企業と異なる倫理観が必要となるでしょう。

したがって、専門家は運用に完全に携わる少人数の専門家チームでなければなりません。優秀な人材を獲得し育成することもモチベーションの一部で、本当にワクワクする仕事だと思います。

これは応用倫理学ではなく「具体倫理学」だと私は考えています。東京大学教授の中島隆博さんは「共生」という考え方を示されています。具体倫理学は共生倫理で、共に物事を行い、共に成長します。これもボトムアップとトップダウンの相互の循環構造をとります。

名和:互いに争うよりも、共生を規範としなくてはなりませんね。

生命科学の概念を経済の議論に持ち込む

ガブリエル:人間は動物ですから、私たちの経済活動はある種の合理的動物の活動です。たとえば、人間の細胞にはウイルスが組み込まれて、共生しています。細胞の構造そのものが感染症考古学であり、ウイルスやバクテリアは進化の原動力となってきました。

パンデミックでは、ウイルスの世界が人間の世界を攻撃します。それに対して、ワクチンで免疫を獲得し、感染をコントロールするのが現代的な解決方法です。

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