最高哲学責任者(CPO)で会社はどう変わるか? エシックス(倫理)と資本主義を考える(4)
ガブリエル:仮にCスイート(最高責任者職)の人々が集まった組織があり、CPOが率いているとしましょう。ちなみに、最高倫理責任者(Chief Ethics Officer)としなかったのはCEO(最高経営責任者)と被ってしまうからです。
この集団の機能は、まず社内の企業文化に目を向けることです。企業文化の道徳的事実は何か。他のどのよい社会的関係においても、まずは内部から始めて、自分自身の魂に取り組む。そうすれば、対外的関係はよりよいものになるでしょう。
次に製品を通して顧客との外部関係を見ていきます。自社は何をしているのか。市場で人々とどのような関係を持っているのか。すべて倫理的観点から評価し、矛盾があれば、すぐに解決を図らなくてはなりません。
たとえば、フェイスブックが当初大成功を収めたのは、対外的に自由を約束したからです。連絡を取り合い、友情を育み、民主主義が広まり、倫理的製品だと。ところが、内部はすでに非倫理的な考えに基づいていました。
当初のアルゴリズムは性的魅力度の観点で人々をランク付けし、大学の社交グループのようなゲームをしていたのです。その後、「いいね!」ボタンを導入するなど、非倫理的な意思決定を始めました。
これについてロジャー・マクナミーが『Zucked』という著作で言及しています。「Zucked」は造語で、フェイスブックCEOのマーク・ザッカーバーグにしてやられたという意味です。
フェイスブック経営陣は「いいね!」ボタンについて批判的に議論し、そこには中毒性があることに気づいていました。社会的に問題のある機能であるかもしれないという脅威を認識しながら導入に踏み切ったのです。CPOはこのようなプロセス全体を監督し、自由と解放の約束の間の緊張を予測するでしょう。
CPOの果たす役割
名和:当時、フェイスブックにCPOを設置していたのですか。