シャープ、個性強めな「19万円のスマホ」投入の狙い ハイエンド機とエントリーモデルの両輪戦略で攻勢
カメラ機能への本気度は、本体側面に搭載された物理シャッターキーからも伝わってくる。半押しでフォーカスを固定できる本格的な仕様で、このキー自体もデジタルカメラの部品をそのまま用いているという。さらに、市販のレンズフィルターが装着できるアタッチメントも用意された。
本体性能も高い。スマホの頭脳には「Snapdragon 8s Gen 3」プロセッサーと12GBのRAMを搭載、6.7インチのPro IGZO OLEDディスプレイは240Hzの可変駆動に対応する。上下に配置された大き目のスピーカーボックスは迫力のある音楽再生も実現する。バッテリーも5000mAhと大容量だ。
「最先端のカメラ技術を攻めていくうえで、この製品は非常に重要な商品だ」。事業本部長の小林氏はR9 proの意義をこう説明する。その価値は単純な販売台数や収益性だけでなく、より大きな戦略的意味を持つという。
実際、カメラや物理性能など、お手頃なスマートフォンの性能が底上げされてきた現在、フラッグシップモデルの存在意義が改めて問われている。シャープはその答えを「カメラを超えること」に見いだした。ライカカメラ社との度重なる議論を経て到達したその解は、本当の意味でメインとして使えるカメラと、本格的でありながら直感的な操作性の両立だった。
ここで開発された技術は、後に手頃な価格帯の製品にも展開される。AQUOS R9 proの「スーパーフラッグシップ」という位置づけは、単なる最上位モデルを意味するのではない。むしろ、シャープのスマートフォン技術全体を牽引する開発の先端としての役割を担っているのだ。
独自路線を行くsenseシリーズ
AQUOS R9 proと同時にミッドレンジ機の「AQUOS sense9」も発表された。1000万台の販売実績を持つAQUOS senseシリーズの新モデルだ。
R9 proが先端技術に関心を持つアーリーアダプター層をターゲットとするのに対し、sense9は幅広いユーザー層に向けた「ちょっとアガる、どまんなかスマホ」を目指す。約166gという軽量ボディに5000mAhのバッテリーを搭載し、画面は独自開発の省電力なPro IGZO OLEDディスプレイを装備。「このハンディサイズで電池持ちがやたらにいいものがほかにはない」(小林氏)という、AQUOS senseシリーズが確立した独特のポジションの踏襲を狙う。
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