そのような視点で見ると、食事による庶民派アピールは恐ろしく昭和的な、前時代の遺物といえるだろう。
また、格差社会化の進展によって、食事は、以前よりもセンシティブなものになっている。日本の相対的貧困率が先進国中で最悪の水準にあり、直近のデータによれば6人に1人が貧困状態にある(「2022(令和4)年国民生活基礎調査」)。生活意識で「苦しい」との回答は6割に上り、過去5年で最も高い水準である(「2023(令和5)年国民生活基礎調査」)。
国民がこのような厳しい状況にある中で、人々の境遇によってどう受け止められるか不確かで、かつ意図が露骨な食事は分が悪いとしか言いようがない。
加えて、そもそも政治家の食事などがいちいち炎上すること自体が、日本の「貧すれば鈍する」的な状況を表しているともいえる。いずれにしても、自爆型PRになりやすい代物なのだ。
トランプ氏のほうがまだマシ?
一方で、いわゆるポピュリズムの文脈から見れば、幅広い支持を獲得するための戦略として有効にも思える。
けれども、とりわけ庶民対エリート/既得権益の姿勢を打ち出すポピュリストは、有言実行の一貫性が重要であり、イメージ戦略はその後追いでしかないところがある。
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