トランプの「マックでバイト」笑えぬ日本人の悲哀 政治家の庶民派アピールに見る日米のセンスの差

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そのような視点で見ると、食事による庶民派アピールは恐ろしく昭和的な、前時代の遺物といえるだろう。

平沢勝栄 Xのポスト
「時短のため」コンビニでお弁当を購入。しかし、「庶民にはコンビニ弁当は高い」などの声が寄せられた(画像:平沢勝栄Xより)
枝野幸男 Xポスト
「物価高の影響で、ファミレスの朝定食から牛丼チェーンの朝定食にシフト」と投稿した枝野幸男氏。一般的に政治家は高収入とされるため、疑問の声を多く集めた(画像:枝野幸男Xより)

また、格差社会化の進展によって、食事は、以前よりもセンシティブなものになっている。日本の相対的貧困率が先進国中で最悪の水準にあり、直近のデータによれば6人に1人が貧困状態にある(「2022(令和4)年国民生活基礎調査」)。生活意識で「苦しい」との回答は6割に上り、過去5年で最も高い水準である(「2023(令和5)年国民生活基礎調査」)。

国民がこのような厳しい状況にある中で、人々の境遇によってどう受け止められるか不確かで、かつ意図が露骨な食事は分が悪いとしか言いようがない。

加えて、そもそも政治家の食事などがいちいち炎上すること自体が、日本の「貧すれば鈍する」的な状況を表しているともいえる。いずれにしても、自爆型PRになりやすい代物なのだ。

トランプ氏のほうがまだマシ?

一方で、いわゆるポピュリズムの文脈から見れば、幅広い支持を獲得するための戦略として有効にも思える。

けれども、とりわけ庶民対エリート/既得権益の姿勢を打ち出すポピュリストは、有言実行の一貫性が重要であり、イメージ戦略はその後追いでしかないところがある。

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