豪華列車「ななつ星」乗務員の知られざる研修内容 社外公募を含む多様な人材が1年の研修を受けた

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3人目は、現在は、ななつ星を離れ、D&S列車などの営業、プロモーション業務で期待のホープとして中心的存在となりつつある渡邊祐一さん。
社内公募にいちはやく手を挙げたという渡邊さんは当時、「5年以上の乗務経験がある車掌兼クルー」が必要という経営判断にぴったり合致する若手でした。

研修のカリキュラムの記念すべき1時間目は、社長、つまり私の特別講義でした。

「サービスのプロである皆さんにさらにサービスを極めてもらうための研修です。研修を通じて、ななつ星オリジナルのおもてなしとはなんぞや?というテーマを追求してもらいたいと考えています」

そのあとは、まずはJR九州の入社教育を旨としようということで、新卒の新入社員同様に福岡県北九州市門司区にある社員研修センターへ。

鉄道のいろはなどまったく知らないような外部採用組と、社内採用組を、あえて同じ環境に放り込んでみたわけです。

営業基礎と呼ばれる運賃計算、特急料金の算出、難読駅名の暗記、お客さまのきっぷに応じた運賃計算を手計算で行うといったトレーニングも入るので、外部組は右往左往。ここで、社内組がそのフォローにまわります。夜中まで自習室にこもって、一緒に勉強を見てあげたのだとか。

一流ホテルや名旅館での実地訓練も

座学を終えると、今度は一流ホテルや名旅館に散っていっての実地訓練です。社内組は、それまでの業務であまり馴染みのない仕事の待っているホテルへ。

車掌出身の渡邊さんの場合、これはなかなか苦労の多かった研修だったようで、ホテルの宴会場で給仕の際、片手に持っていたお皿から料理が転がり落ちたのに気づかず、空っぽの皿をお客さまに提供してしまったり。客室案内の勝手がわからず、フロア内でお客さまを端から端まで移動させてしまったり。

今なら笑い話ですけど。当時は、冷や汗では済まないような失敗も重ねたといいます。

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