豪華列車「ななつ星」乗務員の知られざる研修内容 社外公募を含む多様な人材が1年の研修を受けた
社外からも「クルー」を公募
ななつ星では、乗務員のことを「クルー」と呼びます。JR九州の他の列車やD&S(デザイン&ストーリー)列車では「客室乗務員」で統一されていますが、ななつ星ではクルーです。
ななつ星のクルーを社外からも公募するか、社内からのみ選抜するか、については当初意見が分かれました。チームの幹部を含め、構想当初から社内選抜案を推す声は少なくありませんでした。
2011年5月の会議で、自分でもそれが正解かどうか自信はなかったのですが、思い切って「社外からの採用も検討してはどうか」と提案してみました。案の定、多くから反対され、そのときは私のほうがすごすごと引き下がりました。
「列車の乗務員になるには鉄道の知識と経験が必須要件だ」
「JR九州の社員のなかにも優れた接客サービスができる者も相当数いる」
「新たに社外から採用となると、人件費が増大する」
反対を主張する理由は、こういったものでした。それらはすべて、頭では理解できました。しかし、まだ心に引っ掛かるものがありました。
日本初のプロジェクトです。私たちの知らない世界に足を踏み入れていくわけです。
(その道のプロの力が必要なのではないか……ホテルのコンシェルジュ、航空会社の客室乗務員、有名レストランのソムリエといった、サービスのプロの力が要るのではないか)1年後の2012年4月、今度は断固とした口調で言いました。
「やっぱり、クルーは社外からも採用しよう」
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