VC大手「ジャフコ」のセクハラ事件に業界は沈黙 スタートアップ業界「セクハラ横行」報道の中で露呈

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女性側の弁護士は、「ビジネスと人権」の考え方に基づき、ジャフコのファンドに出資する銀行や企業も対応が必要だと呼びかける。また、VCの業界団体である日本ベンチャーキャピタル協会(JVCA)に対して、業界としてセクハラ被害防止のための抜本的対策を取るよう要請している。

ビジネスと人権に詳しい蔵元左近弁護士は、「とくにジャフコと関わりの深い企業は事実関係の確認を行い、ハラスメントを許さないというメッセージを発するべきだ」と指摘する。自社の問題ではないという論法は今の時代通用しない。

ジャフコは同業のANRIと共同で、女性起業家に特化した支援プログラムを始めていた。だがジャフコは「関係者に迷惑をかけるため辞退」した。ANRIに事実関係の確認などを行っているか尋ねたところ、「弊社で起こった事案ではないため回答を控える」とのことだった。

上辺だけで問題に向き合っていない

JVCAにはジャフコも加盟し、被害女性と面談したM氏が要職に就いている。JVCAの広報担当者は、「ジャフコには事実確認を求めている。M氏については完全にジャフコさんマターの話なのでわれわれはいっさい関知していない」と話す。

昨今、女性起業家に対するセクハラの問題が報道されている。

イノベーションに関する教育を行っているアイリーニ・マネジメント・スクールの柏野尊徳氏が今年7月に行った調査では、女性起業家の52.4%が過去1年間にハラスメントを経験。加害者は投資家やベンチャーキャピタリストが44.4%を占めた。

また、過去1年間に受けた被害を周囲や関連機関に相談報告したケースは14.8%で、多くの被害者が泣き寝入りしている状況が浮かび上がる。

業界関係者からは、「女性支援をふだん口にしている人たちがセクハラ問題になると沈黙するのはなぜか。上辺だけで問題に向き合おうとしていない」との批判が聞こえてくる。社会的責任を果たすのか、今問われている。

大塚 隆史 東洋経済 記者

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おおつか たかふみ / Takafumi Otsuka

広島出身。エネルギー系業界紙で九州の食と酒を堪能後、2018年1月に東洋経済新報社入社。石油企業や商社、外食業界などを担当。現在は会社四季報オンライン編集部に所属。エネルギー、「ビジネスと人権」の取材は継続して行っている。好きなお酒は田中六五、鍋島。

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