VC大手「ジャフコ」のセクハラ事件に業界は沈黙 スタートアップ業界「セクハラ横行」報道の中で露呈

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女性は嫌だと言っているのに会社が交渉してくることにも苦痛を感じていた。だが、「具体的内容には触れず、加害者の所属する部員に限定して話す」という条件で渋々承諾したとする。ところがAが謝罪したのは全社員が集まる場だった。

月例会合での謝罪をきっかけに、被害を受けたのは彼女であると社内に広まり、女性の職場生活は一変した。仲良くしていた同僚女性から距離を取られるようになったり、仕事の相談をよくしていた同僚男性から「関わりたくない」と言われたり、孤立を深めていった。

セクハラを申告したことで受ける二次被害をセカンドセクハラと呼ぶ。女性側の弁護士は、まさしくこのセカンドセクハラが起きたと指摘する。女性は、事後対応のつらさから「通報しないほうがよかったかもしれない」と何度も思った。

ジャフコのセクハラ事件
記者会見で配布された加害男性Aの謝罪文の写し。Aは頭を丸め、Bは女性に土下座して詫びたという(記者撮影)

待っていたのは給与半減

事件から10カ月ほど経った2020年10月。女性は契約更新に向けて面談を数回行った。

その際、ジャフコ執行役員のM氏から、給与の減額を受け入れるか、退職するかを迫られたという。「今後正直にいうと(あなたを)必要としていませんってこと。っていう前提で言われたときに結局どうしますか、それでも継続したいですか」と告げられたそうだ。

女性は従来の半分、月額50万円で仕事を続ける道を選ぶが、ストレスにより休職。最終的には雇い止めになった。女性側は、「基本的に(会社を)辞めてほしい。残りたいのなら(給与は)半額だという流れだった」(指宿弁護士)と説明する。

一方のジャフコ側は、「女性の業務の進め方や周囲とのコミュニケーションのあり方に起因し、周囲との軋轢がたびたび生じていた」(広報担当)とし、適切に話し合いを進めたとする。面談の際に女性の人格を否定したり、雇用条件に関して一方的に迫ったりしたという認識はないとも説明する。

すでに女性と加害者との間では和解が成立。女性が求めているのは、ジャフコが従業員への安全配慮義務に違反していたことや給与減額などに対する補償だ。

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