大コケ映画「ジョーカー2」を責めてはいけない訳 今年最大の注目作があえてセオリー無視で挑んだこと

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この映画に本当に1億9000万ドルが必要だったのかについては後で触れるとして、フェニックスのギャラが大幅にアップしたのは、ハリウッドにおいて普通のことだと指摘しておきたい。

1作目が大当たりして次を作るとなれば、その俳優が必要。しかも、フェニックスは、まさにその役でアカデミー賞主演男優賞まで獲得している。それに、当たるかどうかわからなかった1作目の時と違い、ある程度の興行収入が見込まれている(皮肉にも、この続編の場合はそうならなかったのだが)。当然、その俳優のエージェントは、強気で交渉する。それが彼らの仕事だ。

フィリップス監督についても、同様。彼の場合は、『ジョーカー』以前にも、『ハングオーバー!』3部作、彼がプロデューサーを務めた『アリー/スター誕生』などで、ワーナーを儲けさせてきた。

伝統的にフィルムメーカーとの関係を大事にしてきたワーナーにとって(当時のCEOジェイソン・キラーがすべての映画を劇場公開と同時に配信すると突然決めて怒らせるまでは、クリストファー・ノーランもワーナーと特別な関係を築いていた)、フィリップス監督は大切にすべき存在のひとりなのだ。

成功した1作目を踏襲しなかった

それが、ふたつめの点である「1作目のファンを失望させる続編を作った」ことにつながった。

メディア、そして観客からも聞かれるのは、「誰のために作ったのか」「アメコミファンの求めるものを無視している」「なぜミュージカルでやる必要があったのか」という声。

それらは妥当な疑問だ。アメコミのファンは男性が中心で、ミュージカルのファンとは重ならない。それに、せっかく成功した1作目と、わざわざ違うことをやったのである。

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