大コケ映画「ジョーカー2」を責めてはいけない訳 今年最大の注目作があえてセオリー無視で挑んだこと
まず、お金について。ハリウッドのメジャースタジオは、ほかの国では考えられないレベルのお金をかける。だが、予算をたっぷりかけた映画の作り手は、しばしばその話題を避けたがる。失敗した時に格好がつかないからだ。
逆に、低予算で作った映画が成功すると、「お金もかけずにこんなすごいものを作った」と、美談になる。500万ドル以下でオリジナリティのあるホラー映画を作り、たびたびヒットさせるブラムハウスなどは、それ自体がブランドになっている。
オリジナルである前作の『ジョーカー』は、R指定でリスクが高いと判断され、トッド・フィリップス監督は、アメコミのキャラクターの映画にしてはかなり低い5500万ドルしかもらえなかった。にもかかわらず、10億ドルの大ヒットに持ち込み、アカデミー賞を2部門で受賞するという快挙を達成した。まさに美談だ。
赤字になるのはほぼ確実
一方で、続編には、なんと1億9000万ドル(約285億円)の製作予算がかけられている。オリジナルの3倍以上で、大型アクション映画なみの予算だ。そのうち2000万ドルは、主演のホアキン・フェニックスのギャラ。レディー・ガガとフィリップス監督のギャラは、合わせて3000万ドル以上と言われている。
製作予算とは別に、全世界規模の宣伝広告費が1億ドルほどかけられた。続編の全世界興行収入は現在までに1億6500万ドルで、収支が均衡する3億7500万ドルに達するのは非常に難しいと見られる。
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