G20声明、一段の構造改革なくして成長なし 金融政策に依存していては成長は加速しない
当局者らは、人民元切り下げや中国株式市場の混乱は、中国がより開かれた経済に向かう困難な過程での出来事、との見方を示した。
国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は「極めて困難な変革のため、完全に円滑な過程ではなかったり、混乱が生じたりしても当然だ。われわれは多くの説明や質問、対話を持ち、非常に開かれたものだった」と会合後に語った。
ただ、日本の麻生太郎財務相は、中国側の説明は不十分で、もっと明確な説明が必要だと述べた。
米国のルー財務長官は、世界は中国が、市場のファンダメンタルズを反映した為替レートに向けて動くよう望んでいると指摘した上で、「世界は中国に対して、市場で決定される為替レートへの移行を求めているが、秩序だった方法で、理解可能で中国自体にもプラスの影響をもたらす明確な政策によって実行されるべきだ」と述べた。
G20は改革の実行スピードが十分ではない点も指摘した。昨年、G20は改革や投資によって、5年間で国内総生産(GDP)を2%底上げする、との目標で一致している。
金融政策だけでは成長はできない
声明は「我々のコミットメントの達成に向けた進展は見られるものの、実施のための更なる努力が必要」と指摘している。
ラガルド専務理事の発言はより明確で、中央銀行の超低金利政策によってもたらされた流動性への政府の依存が長期にわたりすぎた、と指摘した。
「金融政策だけでは達成できない。必要ではあるし、われわれの見解では、特に欧州や日本においては依然として必要だが、それだけでは達成できない」と述べた。
「明らかに、財政の分野や構造改革の分野でさらにやるべきことがある。中央銀行と共に行う必要があるが、ゆくゆくは中銀からバトンを受け継ぐ必要がある」と同専務理事は述べた。
しかし、カナダのオリバー財務相は、世界経済の減速によって改革実行は一段と難しくなっていると記者団に述べた。
同相は「(目標は)進展しているが、われわれが期待していた状況には達していない。成長は期待外れで、各種予想も下方修正されている」と語った。
G20は、投資の促進が第一の優先課題との認識でも一致し、11月のアンタルヤサミットに向けて投資戦略を最終化する、とした。
正式な議題としては取り上げられなかったが、中国人民元のSDR採用についても非公式に話し合われた。ルー財務長官は、中国が約束した改革を実行すれば実現の可能性はある、と述べた。
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