小田急「都内の要衝」喜多見、知られざる駅の裏側 車庫・乗務所のほか、運行に不可欠な職場が集中

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小田急の乗務所は喜多見、大野、海老名、足柄の4カ所。もとは経堂に車両基地や、乗務所の前身の電車区・車掌区など各施設が集まっていたが、1994年に喜多見に移転した。2000年まで向ヶ丘遊園―向ヶ丘遊園正門間で営業していたモノレールの運転士は喜多見電車区の所属だった。

山本純一所長は乗務所の立地について「本線から離れていて電車の音がしない、静かな住宅街の中。経堂から喜多見に移ってきたときは『すごくきれいで広くて、ここは最高だな』と思った」と語る。喜多見乗務所には新宿出張所がある。現在は出張所を合わせて運転士・車掌ら320人ほどが所属する大所帯だ。

喜多見乗務所 所長と副所長 もころん
喜多見乗務所の山本純一所長(左)と春田洋一副所長(記者撮影)

都内にある重要拠点

喜多見所属の乗務員は場所柄、東京メトロやJR東日本など直通先の他社車両、種別としては各駅停車に乗務することが多いようだ。「その分、扉の扱いも回数をこなしています」。こう語るのは車掌出身の春田洋一副所長。山本所長同様、30年前に経堂からの引っ越しを経験したひとりだ。

主任車掌時代には特急ロマンスカー・VSE(50000形)や箱根登山鉄道の「アレグラ号」などの車両輸送にも携わった。喜多見の位置づけについて春田副所長は「唯一都内にあって新宿出張所を抱えているので『小田急の玄関口』と呼んでいます」。新宿出張所はロマンスカー乗務員の主要な拠点でもある。

山本所長は「喜多見は駅や技術系の職場との距離が近く連携しやすい」と語る。東京都心の新宿と箱根や湘南といった神奈川県の観光地を結ぶ小田急線。ロマンスカーに乗っているとあっという間に通り過ぎてしまう喜多見駅だが、周辺はその運行に欠かせない各職場のプロフェッショナルが集まる「都内の要衝」となっている。

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橋村 季真 東洋経済 記者

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はしむら きしん / Kishin Hashimura

三重県生まれ。大阪大学文学部卒。経済紙のデジタル部門の記者として、霞が関や永田町から政治・経済ニュースを速報。2018年8月から現職。現地取材にこだわり、全国の交通事業者の取り組みを紹介することに力を入れている。

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