栄養ドリンク元祖「赤まむしドリンク」の現在 志村けんと研ナオコによる伝説の夫婦コント

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いっさいの妥協を許さず、こだわり抜いて作ったことと、赤まむしドリンクの発売から46年もの時を経てリニューアルしたことで新商品の展示会では問屋やスーパーのバイヤーからも「面白い!」と評判は上々だった。こうして満を持して2017年3月に発売となった。

赤まむしドリンクは会社の歴史そのもの

ところが、いざ蓋を開けてみると、食いついてきたのは50代以上の男性のみで、ターゲットにしていた若い世代からは見向きもされなかった。そもそも赤まむしドリンクを知っている世代は中高年であり、若者にとってマムシ抽出液配合のエナジードリンクは、マムシ酒やハブ酒と同列に受け止められるかもしれない。

「イベントで若い方に試飲してもらおうと声を掛けたのですが、『絶対にイヤ!』と思いきり拒絶されたこともあります。そんな有り様なので、発売したものの半期で棚落ちになりました。今ではほぼネット通販のみの扱いになり、細々と作り続けています。あ、言い忘れていましたが、レッドマムシのパッケージは『チキンラーメン』のキャラクター、ひよこちゃんのデザインを手掛けた中野シロウさんが担当しました。きっと、黒歴史になっていると思います」(梅本さん)

赤まむし
近年発売された美容と健康をサポートする自社開発商品も赤まむしがルーツ(筆者撮影)

栄養ドリンクの用途はスタミナ補給からはじまり、2000年代に入ると、コラーゲンペプチドやヒアルロン酸など美容成分を配合したものや睡眠の質を改善するとされるGABAを用いたもの、シールド乳酸菌で免疫力を高めるものなど多様化してきた。日興薬品工業もオリジナル商品を数多く開発している。

2022年に発売されたノンカフェインの「レッドマムシライト」(筆者撮影)

「無謀にも1年半前にカフェインゼロのレッドマムシライトを開発しました。自社開発商品で利益を生み出すのはもちろんですが、OEM事業におけるサンプル商品としての意味合いもあります。赤まむしドリンクを廃番にすることなく、半世紀以上も製造し続けているのは、すべての商品の原点であり、弊社の歴史そのものだからです」(梅本さん)

以前まで栄養ドリンクが陳列されていたコンビニの冷蔵棚はエナジードリンクやゼリー飲料に大部分を占められ、栄養ドリンクはどんどん隅に追いやられている。しかし、あの茶色い小瓶の蓋を回して開栓し、左手を腰に当てつつ、グビリと一気に飲み干すのが筆者にとってはスタミナ補給の儀式なのだ。誰が何と言おうと栄養ドリンク派を貫き通そうと思っている。

永谷 正樹 フードライター、フォトグラファー

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ながや まさき / Masaki Nagaya

名古屋を拠点に活動するフードライター兼フォトグラファー。

地元目線による名古屋の食文化を全国発信することをライフワークとして、グルメ情報誌や月刊誌、週刊誌などに記事と写真を提供。

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