ヨーロッパでは、ノースボルト以外の車載電池メーカーも経営難に陥っている。
フランスのオートモーティブ・セルズ・カンパニー(ACC)は2024年6月、ドイツとイタリアで進めていた2つの車載電池工場の建設を一時中断すると発表した。同社はヨーロッパ自動車大手のステランティスとフランスのエネルギー大手のトタルエナジーズが2020年に共同設立し、2022年にドイツのメルセデス・ベンツが資本参加していた。
世界の電池業界を見渡すと、有力メーカーの本拠地は中国、韓国、日本など東アジアに集中している。ヨーロッパはなぜ、高品質な電池の量産メーカーを生み出せないのだろうか。
この疑問に関して、9月18日に興味深い動画が公開された。世界最大級の政府系ファンド、ノルウェー政府年金基金の運用責任者を務めるニコライ・タンゲン氏が、中国の車載電池最大手、寧徳時代新能源科技(CATL)の曾毓群・董事長(会長に相当)をゲストに招いたオンライン対談だ。
中国CATLのトップが警鐘
この動画の中で曾氏は、「中国の大学では多くの学生が電気化学を専攻しているが、卒業後に高い賃金の就職先を見つけるのは難しい」と語り、中国の電池メーカーは優秀な人材の確保について(ヨーロッパ企業より)優位にあるとの見方を示した。
そのうえで曾氏は、欧米と中国の大学におけるカリキュラムの違いを指摘し、次のように述べた。
「欧米の大学は、金融や半導体などの基礎技術の研究に重きを置いている。それに対し、中国の大学は電池業界が求める(実践的な)専門人材の育成に注力している。欧米諸国が現状を変えたいなら、まず教育から始める必要があるのではないか」
さらに曾氏は、ヨーロッパの電池メーカーに対して「製品の設計に問題があり、生産工程が合理性を欠き、生産設備の選択も最適ではない」と厳しく評価。現状のまま生産規模を拡大しようとしても、製品の歩留まりや設備稼働率を高めるのが難しく、「数年後に(発火事故を起こすなど)安全性の問題で躓くことになりかねない」と警鐘を鳴らした。
(財新記者:安麗敏)
※原文の配信は9月24日
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