新井カープ「9月の悪夢」経営視点で見る根本原因 「急場しのぎ」の組織運営は遅かれ早かれ瓦解する

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果たして、なぜこんなことになったのか。カープファンである筆者は、本当に気になって考えた。そして、今回の大失速をビジネス的な側面から見ると、見えてくるものもあるのではないかと思い至った。

カープの9月の戦績
9月、カープは黒星ばかりになった(出所:NPB公式サイト)

そこで今回は、組織に詳しい経営コンサルタントの横山信弘氏に、カープ大失速の要因とビジネスでもよくある失敗のパターンを聞いてみた。

絶好調→絶不調、背景には「急場しのぎ」の組織運営

8月までの絶好調から、9月に一気に転落したカープ。このような、ある日を境に崩れてしまう企業は、少なくないと横山氏。特にポイントとなるのが「急場しのぎ」の対応だという。

「基礎・基本がなっておらず、急場しのぎばかりでいると、ちょっとした風が吹いただけで組織は倒れてしまう。こうした基礎・基本はなかなか外から見えにくく評価も難しいので、おそろかになりがちだ」

例として横山氏はある広告代理店のケースを挙げる。40年以上の歴史があるこの会社では、数年前に売り上げが減少。社長の出す号令の下で、既存顧客への営業活動を強化したという。

「注文がとれるまでは戻ってこなくていい」と言うほどの鞭の入れようだったが、結果は「大失敗」。顧客から「まるでわかっていない」「二度と来ないでほしい」と言われるような事態に陥ったという。

横山氏によると、この会社は業績が好調な時代にあぐらをかき、顧客や業界研究を怠っていた。そのため、顧客ニーズへ対応できなくなり売り上げが減少したわけだが、その理由もわからず急場しのぎの対応をしたことで、輪をかけて危機を呼び込んでしまったというわけだ。

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