AppleWatch、知られざる「健康機能」の凄み アップル本社の部門責任者に直撃!

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もし座り続けて仕事をしていた場合、毎時50分頃になると、AppleWatchに通知が届き、スタンドの時間であることが告げられる。これをきっかけに、立ち上がったり、仕事の手を休めて少し歩いたりすることで、座った姿勢を解除することができ、腰痛をはじめとした健康への影響を軽減できるという。

スタンドは12時間が目標となっており、1分立ち上がれば達成度が増えるため、継続できる「非常に小さなゴール」としてモチベーションをつなぎ止める効果を発揮する。

達成度を表すリングのデザインと通知、ゴール設定によって、習慣化とモチベーションをサポートする機能を盛り込んでいる。

ビジネスパーソンにも、子育ての母親にも

AppleWatchは、iPhoneと組み合わせて利用し、iPhoneに届く通知を手元で確認したり、ハンズフリーの通話を行うことができるアップルの「最もパーソナルな製品」としての役割も充実している。

エクササイズ機能は、スマートウォッチに関心のある人々に加えて、スポーツに興味があるiPhoneユーザーを満足させ、いずれにも関心が薄かった人々を健康的な習慣に引き込む役割を担っていきそうだ。

東京は日常的に移動に関わる運動が多い都市であり、これまで単なる移動だった通勤をAppleWatchによって運動として計測することによって、日々の運動量を把握し、さらなるエクササイズに取り組むきっかけを作り出す。

1時間に1分以上立つ時間を促すスタンドは、仕事の集中力を高めたり、午後の眠気の防止にも役立ち、生産的なオンタイムを演出するサポートの役割を演じると指摘していた。

また、子育てをしている母親にとっても、日々の子育てがエクササイズとしてカウントでき、忘れがちな健康へのモチベーションを高めることができる。またiPhoneを触らずに通知や通話が確認できる、スマートウォッチの機能も役立つ。

ブラニック氏は、AppleWatchのひとつの役割として、「人々がもっとアクティブになること、運動に取り組むこと」をあげた。活動的になることによって病気のリスクやストレスを低減し、健康的な生活につながるという。

ともするとAppleWatchは、単なるファッションアイテムと捉えられがちだ。しかし、そうではなく、アップルは、人間の健康について、緻密な研究による裏付けを行い、習慣として生活に取り入れてもらおうとしている。つまり、非常に長期的なスパンでのユーザーとの関係作りを目指していることが分かった。この分野において、これからも機能の拡充が進むことだろう。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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