帝国ホテルがコロナ禍に見せた従業員への気遣い 「日本三大ホテル」それぞれの歴史と魅力を探る

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館内には1999年の5月からコンポストプラントを導入しました。これにより、1日約5トンの生ゴミを有機堆肥に変え、再利用することで食品ロス実質ゼロを実現しています。SDGsという言葉が盛んに使われる以前から、積極的に取り組んでいるのです。

さらに「食のSDGs」として、おいしく、そして環境にもやさしく、健康的なメニュー開発にも取り組んでいます。

世界的な食糧の安定供給や環境負荷低減へのソリューションとして、植物性代替食品を使用したメニューを考案しました。使われるのは不二製油(株)の「プライムソイミート」や、ミツカングループの(株)ZENB JAPAN(ゼンブジャパン)が販売する黄えんどう豆100%の「ゼンブヌードル」などです。

それら多彩なサステナブルメニューは、館内直営レストランで提供されています。

かつてはホテルといえば敷居の高いところでしたが、ホテルニューオータニは創業当時より「家族だんらんから国際会議まで」をうたい、幅広いマーケットに対応してきました。現在は5つ星ホテルとして世界にも認められています。

③ ホテルオークラ(現・The Okura Tokyo)

ホテルオークラの創業者は、大倉財閥2代目の大倉喜七郎氏です。

「建築やインテリアに日本美術の粋を集め、日本ならではの国際的なホテルを作る」という構想をもとに建てられました。エントランスを潜った先に広がる厳かなロビー空間は、圧倒的な存在感を放っています。

大倉氏は財閥解体により公職追放となり、会長職にあった帝国ホテルなどからも離れ、どん底の経験を味わった人物です。オークラ東京には、その歴史や空気感、緊張感を確かに感じることができます。

日本モダニズム建築の傑作

ホテルオークラが開業したのは1962年、東京オリンピックの2年前のことです。当時のホテルとしては日本で初めて「三ツ矢式建築」を採用し、日本モダニズム建築の傑作といわれています。

歴史的価値が高いこの建物は、2019年に「The Okura Tokyo(オークラ東京)」として生まれかわりました。

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その後、世界的なホテルランキングを発表する「コンデナスト・トラベラー リーダーズ・チョイス・アワード 2022」において、2021年に引き続き日本のトップホテル部門で第2位、都内ホテルでは第1位となりました。

「リーダーズ・チョイス・アワード」はアメリカの旅行誌「コンデナスト・トラベラー」が、各国のホテルなどを毎年ランキング形式で発表するもので、数十万人の読者投稿により選出されます。

The Okura Tokyoは、17階建ての「オークラ ヘリテージウイング」と、41階建ての「オークラ プレステージタワー」の2棟から構成されています。館内には508の客室に5つのレストランと2つのバー、茶室、囲碁サロン、約2000平米の「平安の間」を含む19の宴会場、そしてオークラ フィットネス&スパを備えています。

「リーダーズ・チョイス・アワード」での受賞は、高品質のサービスや施設の充実など、The Okura Tokyoの誇る「おもてなしの心」が改めて評価された結果といえます。

林田 研二 株式会社オータパブリケイションズ執行役員/月刊HOTERES編集長

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はやしだけんじ / Kenji Hayashida

大学院卒業後、星野リゾートにて旅館再生事業に従事。再生旅館の支配人を経験。リゾート運営会社にて15施設の総括責任者、飲食事業責任者、ベンチャー起業を経て、2017年オータパブリケイションズに入社。地方自治体やDMOでのホテル誘致委員や研修講師、民泊などを含む多様な宿泊施設の運営サポートに従事。

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