結婚という制度にとらわれず、長く一緒にいられるパートナーがほしいと思った由里さん。彼女の言葉には、年下の孝文さんへの深い共感と愛情が感じられる。一般的な形ではないけれどこんな夫婦があってもいいのだろう。
「自分だけ晩婚」ならではの現実と思い
ただし、「自分だけ晩婚」ならではの悲しみもある。子どものことだ。特に子ども好きではないという由里さんだが、孝文さんとの間にならば「2人合わせた顔の子どもを見てみたい」と思っている。結婚してすぐに妊娠したが、残念ながら流産をしてしまった。
「結婚をしたら普通に子どもができるものだと思っていたのですが、意外とできないものですね。私の女性としての機能が衰えているのか、他に原因があるのかを知りたいと思って、こないだ病院へ検査を受けに行ってきたところです。
結果はまだ出ていませんし、その先の不妊治療をするのかも決めていません。彼の意見は、『子どもはいてもいなくてもどちらでもいい』です。今はそれでいいのかもしれませんが、5年後ぐらいに同世代に子どもがいる人が多くなったときに『やっぱりほしい』と言われても私には産めません。そのことを伝えたら、『もしもそう思ったとしても、それを承知の上で今こうして話している。子どもは授かりものだから、いなかったらいなかったで仕方ない』と言われました」
若いうちに結婚しなかったことに後悔はないと言い切る由里さん。旅行もマリンスポーツも飲食も大いに楽しんだ満足感があるのだろう。しかし、結婚相手が若いことで想定外の悩みを抱えることになった。彼は10年後でも子どもが作れるはずなのに、自分と一緒にいては望んでもかなわない。
「東京で独身生活を続けていたら、『私はこれで幸せだけど、何か?』ぐらいの気持ちのままだったでしょう。結婚したおかげで、年相応の人間らしい悩みに向き合わせてもらったのかな、と思います」
誰よりも大事な人だからこそ、自分のせいで人生の可能性を狭めるようなことはしたくない。10年後も20年後もどうか幸せでいてほしい。このように願うようになった今、由里さんは結婚の意味を十分に味わっているのだと筆者は思う。
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