トコジラミ、駆除のプロが証言する「本当の怖さ」 「20㎡で17万6000円」でも依頼急増、納得のワケ

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夜行性で、夜寝ている人の肌を露出している部分から血を吸うことで、激しいかゆみを引き起こす。しかもこのかゆみは1週間ほど続き、人によっては発熱することもあるという。

トコジラミ
トコジラミ。体長は約5~8ミリ程度だ(写真出典:日本ペストコントロール協会)

ダスキンはこのトコジラミの駆除サービスに2013年から着手している。きっかけは、アメリカからの情報だったそうだ。同社は、米最大手の害虫駆除企業であるターミニックス社のライセンスを取得している。2010年にそのターミニックス社から、「NYの保健所にトコジラミのクレームが増えている」との情報が寄せられたのだ。

その頃、まだ日本ではほとんど被害例がなかった。だが、ダスキンのフリーダイヤルへの相談件数が年々増え、トコジラミの駆除に特化したサービスの必要性を確信したそうだ。ターミニックス社の駆除オペレーションを日本でも試したところ、効果が実証できたため、2013年の導入に至ったという。

サービスのスタートから現在まで、トコジラミに関する売上高は徐々に増加。2018年と2019年を比較すると約2.9倍に、2023年は前年比約1.5倍になったという。駆除の依頼主は宿泊施設や寮をはじめとする事業所と一般家庭が半々だ。予想以上に一般家庭に広がっているのだ。

海を越えてやってくる「スーパートコジラミ」

いったいなぜトコジラミの被害は拡大しているのか。ひとつには、「スーパートコジラミ」と呼ばれる、既存の殺虫剤に耐性を持つトコジラミが登場している状況がある。

これは虫全般に言えることだが、同系統の殺虫剤を使い続けることにより、生き残る害虫が出てくる。それらの虫が繁殖することで、殺虫剤に耐性を持つ虫が増えるというわけだ。現在日本にいる「スーパートコジラミ」は、日本で生まれたのではない。海外で薬剤に打ち勝った種が、インバウンドにくっついて日本に入って来ているのだ。

「飛行機で世界中を飛び回れる時代、害虫は日本だけでなく、海外の事情も大きく影響するようになっています」とターミニックス事業部 事業企画運営室の山中 大さんは言う。

ダスキンへの駆除依頼主は、海外旅行や海外出張帰りの人が多いそうだが、ときどき、心あたりがまったくないという人もいるそうだ。それはつまり、日本のどこかからトコジラミを持ち込んでいるということにほかならない。

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