もっとも、中国が中度の高齢化社会に突入するのは(これまでの人口動態から)予想されていたことだ。そして10年後には、高度の高齢化社会の段階に進むことが確実視されている。
中国国務院が2022年に発表した高齢化対策に関する報告書によれば、中国の60歳以上の人口は2035年までに約4億2000万人に増加し、総人口に占める比率が30%を超える。60歳以上の高齢者の比率はその後も上昇し続け、2050年前後にピークに達すると報告書は予想している。
社会の急速な高齢化は、介護需要の大幅な増加をもたらす。それに対応するため、中国政府は第14次5カ年計画(2021~2025年)の一環として、中国全土の高齢者施設のベッド数を2025年までに900万床以上に増やす目標を打ち出した。
高齢者施設が経営難の矛盾
ところが、実態はむしろ逆の動きを示している。前出の民政省の統計公報によれば、2023年末時点の中国全土の高齢者施設数は40万4000カ所と、1年前の38万7000カ所から4.4%増加した。しかし(各施設が備える)ベッド数に目を移すと、2023年末時点で823万床と1年前の829万4000床より0.8%減少してしまった。
財新記者の取材によれば、ベッド数が減少した背景には高齢者施設の経営難がある。介護サービスの料金設定が地域住民の(平均的な)支払い能力を上回っているため、多くの施設が空きベッドを埋めるのに苦労しているのが実態だ。
中国社会のさらなる高齢化を支えるために、(政府の支援などにより)高齢者施設の持続可能な収益モデルを作ることが急務と言える。
(財新記者:許雯)
※原文の配信は9月4日
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