オランダ政府がこのタイミングで輸出規制を改定した裏には、前日の9月5日にアメリカ商務省の産業安全保障局(BIS)が発表した新たな指針がある。その中でBISは、先端半導体製造装置の輸出についてアメリカと同レベルの輸出管理を実施する国に対し、アメリカ政府への輸出許可申請を免除する特例措置を設けるとした。
この指針の狙いは(オランダ、日本、韓国などの)半導体製造の先端技術を保有する国々に対してアメリカ政府が圧力をかけ、同レベルの対中輸出規制の導入を促すことにほかならない。
アメリカ政府は、半導体製造装置の対中輸出規制の範囲を拡大し続けている。2023年10月には、中国の半導体メーカーによる回線幅14nm(ナノメートル)以下のプロセス技術の会得を阻止しようと、ASMLのDUV液浸露光システムTWINSCAN NXT:1980Diの対中輸出を事実上封じた。
禁輸対象は拡大の一途
2024年1月には、1980iの一世代前の1970iも対中輸出ができなくなったことを、ASMLが決算説明会で明らかにした。同社のピーター・ウェニンクCEO(最高経営責任者、当時)は財新記者の取材に対し、「これら2機種はスペックの差が小さく、同一製品と見なされた」と理由を説明した。
ASMLの公表資料によれば、1980iの初出荷は2016年、同一機種の露光装置間のマッチング精度(MMO)は2.5nm、1970iの初出荷は2013年、MMOは3.5nmだ。
現時点で中国の半導体メーカーがASMLから購入できる露光システムは、1970i の前世代でMMOが4.5nmの1965Ci、またはそれ以下の性能の機種に限られている。
(財新記者:杜知航)
※原文の配信は9月6日
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