■800円ぐらいだったら見に行くのに…
発想としては、飛行機と同じ。映画館でも、早割同様に前売りで割引が実施されているが、そこをもっと精緻にやっていく余地はあるだろう。LCC(低価格航空会社)は早いほど席は安く、直前ほど高くなるという細かな料金設定をしている。大雑把な料金や割引制度の見直しをすぐにでも検討した方がいい。
例えば、今なら「前売り券800円」と売り出したらどうだろうか。予告編で気になった時に、即座に購入する確率が格段に高まるだろう。確実に次のチケットを買わせる工夫が必要だ。現状の“置いてあるだけ”は論外である。
そうなると、「売上=客数×客単価×リピート率」という基本から考えれば、客単価が下がることが当然懸念される。昨今では、3Dのプレミアム価格によって、客単価が上昇していることが、映画館の売上増にもつながっている面がある。
筆者は前売り券の安さはリピート率の向上である程度カバーできるのではないかと考えているが、それに加えて、クロスセリング(関連商品の販売)を導入し、客単価の向上も目指したらいい。
ここで参考になるのが、音楽業界の動きだ。音楽業界ではコンサートの動員数が、1998年の1430万人から、2010年には2618万人と倍増に近い勢いで増えており、各社はチケットの売上そのものよりも、マーチャンダイジングの売上を当て込んでいる。8000円前後のの入場券だけでなく、ペンライト1000円、ツアーTシャツ2000円と、顧客のアーティストへのロイヤルティが高いほど、飛ぶように売れていく。
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