誰がなぜ?北陸新幹線「米原ルート」再燃の震源地 小浜・京都ルート2025年度末着工は課題山積

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実際、その懸念は当たっていた。国土交通省とJRTTは8月7日、与党PTの整備委員会で京都新駅の設置場所およびルートを3案示したが、その際に物価上昇を最大限考慮した場合に事業費は当初想定の2.1兆円から最大5.3兆円に増え、工期は当初想定の15年から25〜28年へ延びる可能性があるという試算を示した。

では、誰が米原ルートへの見直しを訴えているのか。沿線府県の各知事や経済団体トップなどの発言を読むと、おおむね理解を示しているように思えたが、石川県の馳浩知事の発言が気になった。

「3案に関わる事業費、工期などが報告され、事業費が5兆円、工期が約25年と、当初の想定を大幅に上回ることが明らかになったと承知しております。今後は、こうしたデータも踏まえて、施工上の課題への対応はもとより、着工5条件(編集部注:財源見通し、投資効果、並行在来線問題など着工にあたっての基本的な条件)をクリアできるのか、本格的な議論が開始されるものと考えております。国交省には、より詳しい説明を求めたいと思います」

石川県は敦賀―新大阪間の建設費用を負担しないので、気にしているのは工期だ。大阪との直通が最長で28年も先になるのでは、地元経済への悪影響が懸念される。石川県は名古屋圏とも結びつきが強いため、その点でも米原ルートのほうがメリットは大きい。

北陸新幹線 延伸区間
越前たけふ駅付近を走る北陸新幹線(編集部撮影)

米原ルート「東海道新幹線乗り入れ」の現実性

京都府は小浜・京都ルートを支持しているが、その一方で西脇隆俊知事は以下の発言をしている。

「引き続き、国や機構において、慎重な調査と丁寧な地元説明を行うとともに、地下水や建設発生土など施工上の課題や環境の保全について適切に対応していただく必要があると考えております」

小浜・京都ルートにおける整備区間が最も長く、住民の間で地下水やトンネル残土処理など環境面の影響を心配する声があるためだ。

また、整備区間が最も長いということは、費用の負担割合も多いことになる。この点については「いずれきちんとした説明があると思っているので、まずはそれを待ちたい」という説明にとどめた。

野党の中にも反対勢力がある。日本維新の会国会議員団の馬場伸幸代表と教育無償化を実現する会の前原誠司代表は連名で米原ルートへ変更するよう6月18日に、国交省に提言している。もっとも、同じ日本維新の会でも、吉村洋文共同代表は大阪府知事として小浜・京都ルートを支持している。

馬場氏と前原氏の提言では、「リニア中央新幹線の開業も考慮すべき」としている。リニアが全線開業すれば東海道新幹線の過密ダイヤが緩和され、米原で東海道新幹線への乗り入れが可能になるという。

北陸新幹線 路線図
北陸新幹線の東京―敦賀間は最速3時間08分だ(編集部撮影)
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