誰がなぜ?北陸新幹線「米原ルート」再燃の震源地 小浜・京都ルート2025年度末着工は課題山積

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米原ルートは3案中で建設距離が最も短く、建設費が割安で工期も短い。だが、米原で東海道新幹線に乗り換える必要がある。乗り換え時間を考慮すると、敦賀―新大阪間の所要時間が3案中で最も長くなる。

関西の県や政令市で構成される関西広域連合は割安なコストや建設期間の短さを理由に米原ルートを推していた。米原ルートの沿線自治体である滋賀県は建設費用の負担を理由に反対していたが、その後、費用負担を関西全体で解決するなどの条件付きで賛成に転じた。

湖西ルートではフル規格で建設する案のほか、新幹線と在来線の両方を走行できるフリーゲージトレイン(FGT)をJR湖西線に走らせるという案もあった。当時、JR西日本の経営陣は「北陸と大阪をまずFGTで結び、その後1日も早くフル規格でつなげたい」と説明していた。

ただ、2014年に鉄道建設・運輸施設整備支援機構(JRTT)が行っていたFGTの耐久走行試験中に不具合が見つかり安全性が疑問視されたことで、FGT導入案は立ち消えとなった。

敦賀駅
北陸新幹線が乗り入れる敦賀駅。大阪方面へは在来線への乗り換えが必要だ(編集部撮影)

小浜・京都ルートに決まったものの…

状況が混迷する中、敦賀から小浜市経由で京都駅に乗り入れる小浜・京都ルートという新たなアイデアをJR西日本が提案した。京都─新大阪間は東海道新幹線に乗り入れず、新たに設ける地下トンネルで結ぶ。京都市を通ることで旅客需要を望めると同時に、小浜市を経由するので福井県にも魅力的なアイデアである。

東小浜駅
JR小浜線の東小浜駅。北陸新幹線小浜・京都ルートの駅位置は同駅付近を予定している(写真:うげい/PIXTA)

当時、JR西日本は「ルート選定で率先して意見を言える立場ではない」と前置きしたうえで、「営業主体として将来意見を求められる可能性を考え、さまざまな勉強を続けていた」と提案の理由について説明していた。

さらに、小浜から舞鶴まで西進して山陰本線沿いに京都市に南下、新大阪に進む舞鶴ルートも登場し、5案で検討が進められた結果、まず、若狭ルートと湖西ルートが外れ、最終的に小浜・京都ルートの採用が決まった。関西広域連合や北陸3県も賛成した。

京都―新大阪間のルートが未決定で引き続き検討されていたが、2017年3月に京田辺市付近を通る南回りルートで決まった。京都駅の位置などの詳細はさらに検討されることとなった。建設主体となるJRTTは2019年から環境影響評価手続きを開始するとともに、具体的な工事の進め方に関する検討もスタートした。

しかし、2020年になって金沢―敦賀間で工事の遅れや工事費用が膨らんでいることが判明し、開業時期が延期されることになった。小浜・京都ルートの工期は15年、事業費は2.1兆円と試算されていたが、同様の事態となるのではないかという懸念もあり、工期が短く費用も割安な米原ルートの再考を求める声がこの頃から出始めた。

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