築75年"困った"実家を「50万円」で売却するまで 小説家が直面「負動産」相続問題と実家じまい
それにベンチャー企業の住所登記や、倉庫として使用するのもアリです。実家の売却と言うと親と同じように暮らすことばかりを考えがちですが、さまざまなライフスタイルや用途があります」
高殿さんは実家じまいの経験を振り返りながら、「まずは片付けから着手したのが良かった」と語ります。
「今回学んだことは、とにかくマーケットに出す重要性です。祖父母の家にあった家具類は私にとってゴミに思えても、欲しい人には価値のあるもの。今回は無料で持って行ってもらいましたが、もし時間に余裕があるならフリマアプリで売れば良かったなと思います」
面倒な実家じまいでしたが、親族に対して「あの家を片付けたのは私だぞ」と恩を売るメリットを感じたそう。
実家じまいをやり遂げた事実は誇りになる
「今後も、身内との間には介護や葬式などいろんな問題が出てくるでしょう。その中でも大きな課題である実家じまいをやり遂げた事実は、誇っていいと思うんです。自分の体が極まった時にほかの問題が降りかかる不安を考えれば、今のうちに手を付けて良かったと思いました」
誰にもいつか訪れる実家問題。実家じまいは「思い出があるから」と後回しになりがちですが、少しずつ情報収集をして、売るか運用するかを考える時間を設けることも必要なのかもしれません。
小説家。漫画の原作や脚本なども担う。2000年、『マグダミリア 三つの星』で第4回角川学園小説大賞奨励賞を受賞。2013年、『カミングアウト』で第1回エキナカ書店大賞を受賞。2024年4月には同人誌『98万円で温泉の出る築75年の家を買った』を刊行し、話題に。新刊『私の実家が売れません!』(エクスナレッジ)が好評発売中。
取材/小沢あや(ピース株式会社)
SUUMOジャーナルの関連記事
●実家じまい、母の民芸コレクション数千点の譲渡会を父が設計した自宅で開催。新しい物語を次世代につなぐ 二部桜子さん
●実家じまい、団塊世代の親「モノが捨てられない」「お金がない」問題に驚愕。親の思考を劇的に変えた3つの方法 小説家・高殿円
●「住まいの終活ノート」の使い方解説! "負動産化"防ぐ相続の基礎知識や空き家活用法など、国交省・自治体から発信続々。注目は神奈川県や埼玉・越谷市
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら