マスプロ電工の苦悩と再挑戦 地デジ特需後に非上場化

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国内で新事業を育てるだけではなく、遅れていた海外展開も加速させる計画だ。スリランカに昨年8月に設立した現地資本との合弁販売会社を通じ、インド国内での衛星放送受信アンテナなどの放送機器の販売を目指す。日本方式のデジタル放送を採用したブラジルなど南米諸国でのビジネス展開も検討中だ。

牧野与志雄・専務取締役企画管理本部長は「これまでは失敗したときに株主に迷惑をかけてしまうリスクを考え、新事業展開には慎重にならざるをえなかった」と振り返る。しかし、非上場化することで「リスクの高いものにも、積極的に取り組むことが可能になる」(牧野専務)。

ただし、潤沢な手元流動性を新事業の育成だけに集中投下できるわけではない。端山社長の資産管理会社であるはしやまは、マスプロの資産を担保に三井住友銀行から約200億円を借り入れてMBOを行った。はしやまを吸収合併するマスプロはこの借金の返済も進めていく必要があるのだ。「第2の創業」を成就するための道のりは、決して平坦なものではない。

(週刊東洋経済2011年12月3日号)

※記事は週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。

 

山田 俊浩 東洋経済 記者

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やまだ としひろ / Toshihiro Yamada

早稲田大学政治経済学部政治学科卒。東洋経済新報社に入り1995年から記者。竹中プログラムに揺れる金融業界を担当したこともあるが、ほとんどの期間を『週刊東洋経済』の編集者、IT・ネットまわりの現場記者として過ごしてきた。2013年10月からニュース編集長。2014年7月から2018年11月まで東洋経済オンライン編集長。2019年1月から2020年9月まで週刊東洋経済編集長。2020年10月から会社四季報センター長。2000年に唯一の著書『孫正義の将来』(東洋経済新報社)を書いたことがある。早く次の作品を書きたい、と構想を練るもののまだ書けないまま。趣味はオーボエ(都民交響楽団所属)。

 

 

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