アマゾン「キンドル・ファイア」発売、さて米国版は日本でどこまで使えるか?

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 ちなみに、本棚にはそれ以外にも、ジェフ・ベゾスからのメッセージ、英語辞書(ニュー・オックスフォード・アメリカン・ディクショナリー)、スティーブンソンの古典「宝島」などが入っている。

試しに無線LANを利用してみる。すると、使える機能と使えない機能があることが分かった。
 
 使えないのが、アンドロイドアプリ、ビデオ(映画、テレビ番組)、音楽。購入しようとしても「アマゾン・アップストアはその地域に対応をしていません」「現在の時間はダウンロードできません。もう一度お試しください」「あなたのオーダーは処理できません」などのエラー表示が出てしまう。ただし、ビデオについては予告編を見ることはできる。音楽については一部のサンプルを聴くことは可能だ。

一方で使える機能も多い。アマゾンのオリジナルサービスの中では電子書籍の購入、新聞・雑誌の定期購読などが可能だ。新聞・雑誌の定期購読については、たとえば週刊誌の場合には14日間のフリートライアル期間が設けられていることもあり、遠慮なくどんどん試し読みができる。


村上春樹の「1Q84」。英語版は1冊にまとまっている


 リコメンド(推薦)機能がある点はアマゾンならでは。ミュージックストアを開いたところ、記者個人のamazon.comでの購入履歴に基づき、かなり狭い範囲のジャンルの音楽ばかりがリコメンドされていた。もちろん、ダウンロードでは購入できないものの、amazon.comでCDをオーダーすることは可能だ。

また普通にウェブサイトを利用することもできる。そのため、ウェブメールも活用できるし、フェイスブックやツイッターを使うこともできる。また、iPadとは異なり、アドビ「フラッシュ」に対応しているため、さまざまな動画コンテンツを楽しむことも可能だ。

が、やはり域外利用のため欠点は多い。そもそもクラウドサービスが使えないうえ、有料サービス「アマゾン・プライム」の会員であればただで楽しめるコンテンツについても、日本ではカヤの外だ。

当然といえば当然なのだが、あらためて感じたキンドル・ファイアの利点がある。それは、液晶画面の持つ優位性だ。電子ペーパーを用いた「キンドル」や「キンドル・タッチ」とは異なり、手をタップしながらページを次々に素早くめくっていくことができるのは、やはり便利だ(電子ペーパーの場合は応答速度が遅いため1ページずつしかめくれない)。カラー印刷された雑誌を楽しむことができるのも、カラー液晶ならではだ。

日本ではいつ正式発売になるのだろうか。日本語の書籍を販売する日本版キンドル・ストアがオープンするタイミングに、同時に発売するのが自然な流れだろう。そうだとすれば、それほど遠くない時期に、日本でもキンドル・ファイアが販売されることになりそうだ。
(山田 俊浩 =東洋経済オンライン)

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