巨額負債を相続した、「力道山未亡人」の壮絶人生 『力道山未亡人』書評

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『力道山未亡人』細田昌志 著
力道山未亡人(細田昌志 著/小学館/1980円/320ページ)
[著者プロフィル]細田昌志(ほそだ・まさし)/1971年生まれ。鳥取城北高校卒業。リングアナウンサー、放送作家などを経て作家に。2021年『沢村忠に真空を飛ばせた男』で第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。23年『力道山未亡人』で第30回小学館ノンフィクション大賞を受賞。

戦後復興まっただ中の日本では、街頭のテレビに人だかりができた。お目当てはプロレス。格闘技ブームを巻き起こした力道山が外国の大男たちに繰り出す空手チョップに、人々は沸いた。力道山の人気絶頂期、彼の4人目の妻(前の3人は内縁関係だという)となったのが、日本航空の客室乗務員として海外を飛び回っていた17歳下の田中敬子である。

警察官の娘で、小学生時代には健康優良児の神奈川県代表に選出された。人の悪口は言わず、明るく朗らかな人柄で、職場での愛称は「皇后陛下」。当時、敬子の実家とも力道山とも付き合いのあった森信(プロ野球選手・森徹の母)が、2人の縁をつないだ。

力道山の「一目惚(ぼ)れ」から交際が始まったとの見方がもっぱらで、「断られたら、一生独身でいるつもり」と迫られ21歳のときに結ばれた。敬子は力道山が朝鮮半島にルーツを持つことにも、子どもが3人いることにも動じなかった。

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