ゲオとTSUTAYAに大差をつけた「本質的な違い」 地方でも、居抜きでも出せる業態があるか?

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ここで思い出すのが、ゲオと並ぶレンタルビデオショップとして知られる「TSUTAYA」だ。同ショップを運営するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)はここ数年、迷走状態が続いている……と言われている。

ゲオと同じく、レンタル産業の斜陽化に伴い、TSUTAYAの業績は衰退。近年のニュースでいえば、そのレンタル事業における最大のフランチャイズ加盟店だったトップカルチャーが、レンタル事業から撤退するニュースも記憶に新しい。

こうした流れに伴い、CCCはさまざまな業態にチャレンジしていく。プレミアムエイジ向けの書店で、代官山にオープンした蔦屋書店(2011年)、公共図書館とタッグを組んだ蔦屋図書館(2013年〜)、生活提案型の家電製品販売を行う蔦屋家電(2015年)、シェアラウンジ(2019年〜)など、注目を集めるものも多い。

蔦屋書店
こちらは蔦屋書店。ファンは多いが、同社を復活させるほどにはなっていない(筆者撮影)

しかし、どれもいくつかの都市に点在していたり、あるいは都心部で限定的に行われるコンセプトストア的なものが多く、ゲオにおけるセカスト的な、その企業全体の業績を支えるような決定的な業態を生み出せていないことは確かである。つまり、ゲオがセカストで成し得た「地方・郊外への出店」がうまく進んでいない。

また、本稿では本論ではないために軽く触れるにとどめるが、CCCはTポイントをはじめとするデータベースマーケティング事業に乗り出しているものの、そちらでもなかなか思うような業績が出せず、三井住友のVポイントと統合された。

こうした不調を裏付けるかのように、2023年度のCCC全体の決算は15.8%減となっている。セカストという柱を見つけたゲオとは対照的だといえる。

次なるセカストは生まれるのか

では、CCCが、セカスト的な業態を生み出す可能性はあるのか。

ここで注目したいのが、2024年4月にリニューアルオープンしたSHIBUYA TSUTAYAだ。

渋谷TSUTAYA
次世代のカルチャーインフラになるのか、注目を集めている渋谷TSUTAYA。なお、写真はリニューアル前のもの(筆者撮影)

かつてのSHIBUYA TSUTAYAは、レンタルビデオショップとして、日本最大級の広さを誇る店内にぎっしりとDVDなどが並べられていたが、リニューアル後はそうした「モノ」が並んでいた空間はまったく違う姿を見せていた。

3・4階は広大なシェアラウンジとなり人々が滞留できる場所に、5階には「POKÉMON CARD LOUNGE」が広がり、ポケモンのカードゲームを通じて交流できる場所を作っている。また、1階には時期ごとに展示内容が変わるイベントスペースがあり、基本的に「スペース」が目立つ空間となっている。カルチャーを提供する「店」というより、カルチャーを共有する「場所」になったのだ。

以前、私は東洋経済オンラインにて、このSHIBUYA TSUTAYAを「絵空事にすぎないが、もしSHIBUYA TSUTAYAが成功して全国にSHIBUYA TSUTAYAのようなスペースが増えるのだとしたら、その拡大はわりあい簡単だと思う。というのも、ポップアップストアにしてもイベントスペースにしても、『空間』があればよいのであり、店舗開発には大きなコストがかからないからである」と書いた。

関連記事:渋谷TSUTAYAの大変貌は復活の序章かもしれない 「インフラを作る」企業ミッションの再定義だ

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