ゲオとTSUTAYAに大差をつけた「本質的な違い」 地方でも、居抜きでも出せる業態があるか?

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さらに、もっと重要なことがある。日本全国に出店を広げていると、当然のことながら東京を中心とした都心部だけを見ていても仕方がない。いくら東京の人口が多いとはいえ、日本の人口の9割は、それ以外の場所に住んでいるからだ。

彼らに向けてどれぐらいアピールできるかは、特に全国に店舗を展開するチェーンストアの場合は、如実に業績に影響するといえるだろう。「地方・郊外への展開可能性」はその企業を見る上では欠かせない視点なのである。

その点でいえば、セカストは、元々が香川県高松市のロードサイドの店舗だったこともあるし、「車で大量に衣服を運ぶ」必要もあって、地方郊外と親和性が高い。

「居抜き」のスピード感でどんどんと地方に進出

また、地方出店を推し進めた要因の1つには、それが、居抜きで出店できる業態だったこともある。リアルエコノミーの記事では、北海道におけるセカストの居抜き出店の勢いを「空き店舗ハンター」と表現している。また、レンタル業界の不振で店舗数の減少が進むゲオをそのままセカストに替える場合もあり、居抜き出店は多い。このように居抜きが多いのは、基本的にセカストの店舗は、洋服を並べるラックや棚があれば出店可能だからだ。

つまり、ロードサイドの大型店がなくなったとき、機敏にそこへ出店できる。さらに、一般的に居抜きは、出店コストが低く済む場合が多く、店舗数の割に必要な経費が少なく済むから、出店スピードも早めることができる。どんどんと地方に進出できるわけだ。

その意味で、その業態の特性から、都心だけでなく地方郊外にも満遍なく迅速に出店をすることができるセカストは、結果としてゲオを支える柱へと成長したのだ。

「地方・郊外」を攻略して、斜陽化するレンタル業界から華々しく転換を遂げることに成功した事例なのである。

ちなみに、ゲオのこうした「地方」への眼差しは、どうやら創業時から続くDNAのようなものらしい。

ゲオは1号店と2号店を豊田市で始めたのだが、3号店を秋田に出店する。なぜ秋田だったか。それに対して、ゲオの創業者である遠藤結城は次のような発言を残している。

「都会に住んでいると地方を見なくなるものです。たまたまニチレイ時代に仙台支店にいた私は、東北地方を回った経験がありますから、地方の消費パワーは侮れない、競争が甘いぶん投資に対するゲインはより大きい、と思っていました」

ゲオを創業する前、ニチレイで働いていた……というのがまず驚きだが、それはさておき、そのような背景があって、地方に対する確かな眼差しは、創業時からゲオに受け継がれてきたのだ。

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