自民党総裁選の仕組みと「勝者を決める条件」 上位2人の決選投票は派閥主導で決着するか

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今回も各候補者がそれぞれ獲得した地方票は、投開票日の午前中に全体の集計を踏まえて「ドント方式」で各候補者に配分される。ただ、「これまでの例では、その情報が昼過ぎからの議員投票の直前に会場で飛び交い、それが勝敗を左右する結果となった」(閣僚経験者)とされるだけに、「今回も議員投票の段階で多くの議員が必死で情報収集に駆け回る状況」(同)となるのは避けられそうもない。   

上位2人の地方票が僅差なら、派閥主導の決着も

その一方で、「上位2人の地方票が僅差となった場合は、議員票で当落を決めるのは当然」(長老)との指摘が多い。ただその場合でも「あからさまな派閥の合従連衡で当選者が決まれば、国民からは『新生自民党』どころか『古い自民党』とみなされることは確実」(同)だ。このため「今回ばかりは各派幹部らが、足並みをそろえて派閥単位の締め付けを自粛し、各議員の自主判断に委ねて結果を待つしかない」(無派閥有力議員)との声も出ている。

しかし、熾烈を極めている推薦人獲得競争の際にも、足並みが乱れた各派閥の幹部の大半は「決選投票は派閥単位で結束して、“勝ち馬”に相乗りして主流派になる」(麻生派幹部)との戦略を口にしていただけに、「結果的に、派閥主導の決選投票を避けることは極めて困難」(政治ジャーナリスト)であることは否定しようがない。

いずれにしても、新総裁誕生まであと1カ月。「これまでの党内状況をみる限り岸田首相が退陣会見で繰り返した『新生自民』の実現には、党全体の意識改革が必要」(同)で、「お祭り騒ぎの多数派工作より、自民党の将来を見据えての真剣な論争ができなければ、政権を担う資格を厳しく問われる」(同)ことは間違いなさそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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