自民党総裁選の仕組みと「勝者を決める条件」 上位2人の決選投票は派閥主導で決着するか

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さらに、次期衆院選での政権交代の可能性も想定される中、その勝者は衆院選後の「与野党双方の首相候補」となるため、国民の注目度も高まっている。

そこで、今回総裁選に出馬する候補者たちをそれぞれの政治経歴などから分類すると、小泉、小林両氏の「40代KKコンビ」と、石破、茂木各氏ら「60・70代実力者たち」による、事実上の“世代対決”ともなる。その一方で、総裁選挑戦が2回以上となる「常連組」と「初舞台組」がほぼ半々となる見通しで、過去に例のない“群雄割拠”の激しいつぶし合いが展開されそうだ。

まず、総裁選の最初の重要ポイントとなるのは、告示後の恒例行事として日本記者クラブが主催するプレスセンター10階会見場での候補者討論会。NHKが生中継し、多角的なテーマ設定による記者クラブ代表との質疑や、各候補同士の個別論争での“優劣”が、その後の各テレビ局やネットメディアなどによる討論会での各候補の「論戦でのランクづけ」(政治ジャーナリスト)ともなるからだ。

今回は「地方票トップ」が優位に

続いて、告示後最初の週末に大手メディアが実施するとみられる「党員・党友対象の情勢調査」の結果が、その後の総裁選の展開を大きく左右する材料となる可能性がある。過去には「情勢調査の大幅リードでタガが緩んで大逆転を許したケース」と、「地方票トップという数字がさらなるリードにつながったケース」があるが、「すべては調査結果とその後の展開次第」(自民幹部)とういうのが実情だ。

ただ、今回総裁選がこれまでと明確に異なる要素としては、地方票で圧倒的トップとなり、議員票との合計でも2位以内となった候補者が存在すれば「議員票が中心の『決選投票』でも圧倒的優位になる」とみられている点だ。というのも「地方票で断然トップの候補者を派閥主導の議員票で引きずりおろせば、間近に迫る衆院選での反自民票の拡大につながりかねない」(政治ジャーナリスト)からだ。

前回2021年総裁選では、議員票1位で地方票2位だった岸田氏と、地方票で圧倒的1位だった河野太郎氏(議員票は3位)は、1回戦の合計得票で「岸田256対河野255」とわずか1票差だったが、決選投票では岸田氏が87票の大差をつけて当選した。しかし、「今回はそのような大逆転はあり得ないし、できない」(党幹部)というのが自民党内の常識だ。

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