令和を生きる「40代の男性」求められる"強い覚悟" 「老境の一歩手前」と見なされた時代は終わった
また、文豪で言えば『浮雲』などで知られる二葉亭四迷も45歳で亡くなっています。お手元のスマホで今すぐ調べてもらえればわかりますが、眼鏡と髭が実に印象的な、際立った貫禄の容貌です。現代の平均的な40代男性のルックスとはかけ離れていると言えます。
ちなみに、いまテレビに出ている方で40代といえば、たとえば小泉孝太郎さんが2024年に46歳、高橋一生さんが44歳を迎えるそうです。
お二方とも明治の時代にタイムスリップしたら、20代の若者と間違われてしまうかもしれません。もちろん、タレントさんとそうでない人を単純に比べることはできませんが、一般の人たちだけに絞って比べたとしても、現代人の見た目が若くなっているのは確かです。
そういえば、『サザエさん』に出てくる磯野波平さんは、パッと見の雰囲気はお爺さんのようにも見えますが、昭和26(1951)年に朝日新聞で連載が開始された時点での年齢設定は54歳でした。2024年時点では、棋士の羽生善治さんや俳優の阿部サダヲさん、タレントの岡村隆史さんらと波平さんは"タメ年"ということになります。
ちなみに、妻のフネさんはフジテレビの公式サイトで「50ン歳」となっていました。ご高齢に見えてしまう2人ですが、当時としてはこれが一般的な50代の夫婦像だったということでしょう。
変化した「初老」という言葉に対する意識
そもそも「初老」という言葉は、奈良時代は40歳ぐらいのことを指していたと言いますし、しかも昭和に入ってもその概念はまだ残っていたようです。
たとえば、昭和16(1941)年に発表された太宰治の短編小説『風の便り』には、40代という年齢を強調した次のような一説が出てきます。
「私は先日の手紙に於いて、自分の事を四十ちかい、四十ちかいと何度も言って、もはや初老のやや落ち附いた生活人のように形容していた筈でありましたが、はっきり申し上げると三十八歳、けれども私は初老どころか、昨今やっと文学のにおいを嗅ぎはじめた少年に過ぎなかったのだという事を、いやになるほど、はっきり知らされました。」
また、昭和30(1955)年から読売新聞に連載され、翌31(1956)年に書籍化された石川達三のベストセラー小説『四十八歳の抵抗』では、損保会社に勤める48歳の主人公を初老の男性として描いています。
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