アメリカのファッションブランド、アーバンアウトフィッターズ(Urban Outfitters)のシャツも物議を醸した。これは、白地に灰色柄のストライプで、逆三角の薄いピンク柄が胸にある。これはおそらく意図的に狙ったものと(少なくとも筆者は)感じられるもので、ナチス政権下の強制収容所のシャツと酷似している。
これはさすがに炎上し非難が殺到した。「Urban Outfitters」「concentration camps」と検索すれば出てくる。この反応は過敏かどうかの議論は差し控える。
デンマーク・コペンハーゲンのブランド「WOOD WOOD」はユダヤ人の囚人たちが着せられていた囚人服のロゴマークと酷似した、星印を左胸にプリントしたTシャツを販売した。これも、消えがたき記憶を残すひとたちからは嫌悪とともに非難の声が上がった。これはアーバンアウトフィッターズが販売した。「the Jewish star worn by prisoners」「6points」「nazi」「urbanoutfitters」などと検索すれば出てくる。
女性向けブランド「MANGO」が発表したシャツも、問題となった。白い生地の柄が、ナチスの旗柄に似ているという批判を受けた。柄のパターニングが悪しき記憶を呼び起こすというのだ。当件については、正直、筆者も初見では類似性を発見できなかったものの、指摘されればやむなしと感じる程度ではある。これも、「MANGO」「siegrune」「nazi」と検索すれば出てくる。
アーバンアウトフィッターズは確信的か
前述したアーバンアウトフィッターズは、多くの騒ぎを引き起こすブランドとして認識されている。同社がケント州立大学を揶揄したスウェットを発売したこともある。1970年に、同大学ではベトナム戦争に反対する学生らが州兵から発砲され4人が射殺された。にもかかわらず、アーバンアウトフィッターズは血まみれの柄のスウェットを発売したのだ。
同社の騒ぎはある意味「お約束」にすらなっている。
2012年には、まるでホロコーストを惹起させるTシャツを販売した。それは黄色のTシャツで胸に星印がついている。これはナチス政権下にユダヤ人が着用を余儀なくされたものとそっくりだった。このTシャツはユダヤ、非ユダヤの双方から非難を轟々と浴びた。
ここまでくると、もはやリアル炎上商法とも呼ぶべきで、同社は摂食障害の女性も対象としたVネックTシャツを2014年に販売した。ガリガリに痩せた女性モデルを使い、胸からおなかにかけてデカデカと「eat less」と皮肉ってみせた。これを英語では、「pro-ana T-shirt:」と呼ぶ。プロアナとは聞き慣れない単語かもしれない。プロアナとは無食欲症(拒食症)のことで、もちろん一種の病気だ。
これも「Urban Outfitters」「eat less」と検索いただければ多くの記事が読める。炎上商法と皮肉ったものの、私見では、これに関しては正直、よくわからない。疾患者援助の観点から同社を批判する姿勢はよくわかる。そして、ある種のユーモアとして同社はTシャツを販売したのだろう。もちろん、無食欲症に罹患(りかん)する女性を笑ってよいはずはない。難しい問題だ。
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