親友ができない男性が囚われる「男らしさ」の呪縛 男友達の「悩み」をあなたは知っていますか?
もろくいることで、男性は支配したいという衝動を手放します。なぜなら、もろさは支配によって隠された脅迫的な感情を解き放つからです。
俳優でありポッドキャスターでもあるダックス・シェパードという人がいます。ダックスの妻は、アフリカにある国で慈善活動をする予定でした。ダックスは反対します。自分は人類学を学んだが、外国による慈善事業は解決するより多くの問題をつくり出しているから、がその理由でした。
妻は聞き入れません。ダックスは、妻が取り組む慈善団体の評判に疑問を呈して再び反対します。数えきれないほどの議論を重ねた後、ダックスは、自分の議論の底にあった自分のもろさに気づきます。
「この“人助け”ってものが、君にとって僕よりも大切になるんじゃないかってことを、僕はとても恐れているんだ」とダックスは打ち明けます。
ついにもろさを受け入れたダックスに対して、妻はこう答えます。「あなたより大切なものなんてないわよ」。ダックスはその後、妻が関わる慈善団体の評判を気にすることはなくなりました。
「僕は知性に訴えるポイントを並べているけど、でもそれは事実じゃないと思う」とダックスは言います。私たちがムキになって議論するほとんどは、理論ではなく、その下に湧き上がるもろい感情を避けるために、支配的でいようとする衝動であることが多いのです。ダックスはもろさを通じてこそ、心から求めていた本当のニーズを満たし、妻との関係を癒せたのでした。
もろさを見せることは、男性にはバカにされるというリスクが伴う
とはいえ、男性にとって諸刃の剣となるのは、支配性が男性の人間関係を損なう可能性がある一方で、もろさを見せてもやはり、人間関係を損なう可能性があるという点です。もろさを受け入れることは、とりわけほかの男性に対しての場合、リスクが伴います。
2013年の研究では、もろさを見せる男性について、男性は好ましくないと判断しました(女性はそうは受け取りませんでした)。ニューヨーク州立大学バッファロー校の社会福祉学の教授であり、黒人の男らしさを研究しているクリストファー・セント・ヴィル教授は、こう話します。
「男性は、ほかの男性に目を光らせています。だからもろさを内に閉じ込めてしまうのです。いったんほかの男性の弱さを見つけると、そこを狙います。その人を物笑いの種にし、からかい、いじめるのです」