私の前職場であるリクルートは、「3年で辞めて起業します!」と宣言して入社してくる輩がとても多いし、「30歳までには実家を継ぎたい」とか「絶対留学する」とか辞める前提で会話するのはとても日常的だったので、私は微笑ましく感じてしまいますけどね。そんなヤツに限って立派な仕事をしたり抜擢されたりして、結果的に長く会社にいたりするものだから、「あら、まだいたの? 今頃起業してるはずじゃなかったっけ?」「勘弁してくださいよ~」なんていう冗談は今も後輩と交わしたりしているくらいです。
でも、この環境は特殊で、普通は、辞める前提で入社してきたなんてありえない!という反応の会社が大半のはずです。反応も考えずに堂々と宣言したのは、やっぱりあなたのミスでしょうねぇ。これは「専業主婦になりたいのは悪なのか」という問題とは別問題です。
一方で、あなたにそう感じさせてしまう空気感が世間にあるのも事実のように思います。
専業主婦志向は、憂慮される事態と認識されている
先日、超大手企業の役員に女性初で抜擢された経験を持つ妙齢の女性と一緒に講演したんです。その方の語るキャリアストーリーは、女性が組織で働き続けることそのものがとても難しい時代から、強い意志と行動力で道を切り開いてきたことがよく伝わる内容でした。
私たちのようにそれなりに支援されてきた世代には、「甘えている場合じゃない」と感じさせられる力強いメッセージで、感銘を受けながらお聴きしていました。すると、彼女が突然私に、「若い女性たちに専業主婦志向が高まっていると聞きますが、どう思いますか?」と問いかけたのです。そして、「信じられないわよね? どうしてそんなもったいなこと考えられるのかしら?」とすごく憤慨していらっしゃる様子。
私は同意を求められて、ちょっとひるんでしまいました。多様な生き方や働き方が必要だと声高に叫ばれているのに、実は、若い女性の専業主婦志向の高まりは、世の中的に「憂慮される事態」に認定されているのだなぁと思い知った瞬間です。
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