トヨタ「アルファード」競合不在の発売1年通信簿 今にガソリンエンジン車グレードが売れる意味
2代目アルファードは、2列目の座席を3列目近くまで大きく後ろへ移動し、後席の居住性を旅客機のビジネスクラスのように快適にする新発想を採り入れ、他にない価値を創出した。続く3代目の開発目標は、単に上級ミニバンとしての進化ではなく、セダンやミニバンという枠を超えた高級車を目指し、優れた静粛性など含め大空間サルーンと称した。
競合他社のその後は、日産のエルグランドが今日も販売を続けている。しかし、自動車販売協会連合会(以下、自販連)のブランド通称名別順位による販売統計で、上位50位内に車名の載らない状況だ。ホンダのラグレイトは、一世代のみで2005年に販売を終了し、後継の「エリシオン」も2013年には販売を終えた。ホンダは、アルファード/ヴェルファイアの競合車を持たない状況となっている。
発売1年が経過したアルファード/ヴェルファイア
高級ミニバン市場で一強の存在となったアルファード/ヴェルファイアは、2023年6月にフルモデルチェンジし、1年が経過した。
新型アルファードは、乗る人すべてが「快適な移動の幸せ」を極めることを目指し、開発された。不快に感じる振動や騒音を徹底的に低減し、高級セダンに匹敵する快適性をつくりこんだ。
試乗をすると、洗練さがより伝わってきた。
振動や騒音を高級セダン並みに低減することは、ミニバンでは容易でない。アルファード/ヴェルファイアは、車高が2m近くある。クルマの動きに影響する重心が、背の低いセダンに比べて高くなりがちだ。それを安定させ走らせるには、サスペンションをより強化するのが一般的である。だが、強化されたサスペンションは路面の凹凸に影響されやすく、その様子を乗員に伝えやすい。快適な乗り心地を満たすには、熟成されたサスペンションでなければならない。
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