「70年談話」を主要4党はどう受け止めたのか これを機に各党のスタンスを知っておこう
一、「侵略」や「植民地支配」「痛切な反省」「心からのおわび」というキーワードを使って、歴代内閣の談話、立場を引き継ぎ、今後もそれが揺るぎないことを(談話に盛り込み)閣議決定したことは、大きな意味がある。
一、先の大戦の深い悔悟の念とともに、不戦の誓いをしっかり行った上で、今後の平和国家としての歩みを確認して、これからもその道をしっかり歩んでいくという今後の方向性も明記された。
一、(今回、談話を発表した意義について)歴史に対する反省、教訓から、戦後の歩んできた道を描いた上で、今後も、そうした道を進んでいくことは揺るぎないことを示したところが新しい。中国などを含め、戦後の歩みを支えてくれた国々の寛容の心、行いに感謝の気持ちを示し、共に未来に進んでいく姿勢が表れていることには、これまでの談話とは、かなり違った積極性を感じている。また、一定の歴史の見方を示した懇談会の報告書を基に談話をつくった点も考慮されていい。
一、(歴代内閣の談話継承が内外に伝わることや、中国、韓国との関係改善に資する談話にするよう公明党が求めてきたことについて)談話と首相の会見を通じて、その意味は中国や韓国にも伝わっていくと考えている。これを基に(両国との関係)改善への努力を内閣として進めていただきたい。与党としても、それを支えていく。
一、(談話での「侵略」の表現に関して)侵略や事変、戦争などを区別せず、深い反省の上から、(国際紛争を解決する手段としては)いかなる武力の行使や威嚇も繰り返してはならないという誓いを述べていることは明確だ。安倍内閣が閣議決定し、揺るぎないものにしたことには、歴代内閣の立場を同じ言葉で繰り返さなくても、より強い意思がそこに込められていると受け止めたい。
日本共産党の立場とは?
(1)戦後70年の終戦記念日にあたって、日本共産党は、日本軍国主義の引き起こした侵略戦争と植民地支配の犠牲となった内外の人びとに、深い哀悼の意を表明します。
いま、日本の政治は、戦争か平和かの歴史的岐路に立っています。戦争の惨禍と反省を踏まえて日本国民が得た世界に誇る宝――憲法9条を守り抜き、この条項を生かした平和日本を築くために、思想・信条の違い、政治的立場の違いを超えて、平和を願うすべての国民が力をあわせることを、心から呼びかけるものです。
(2)本日、発表された「安倍談話」は、「侵略」「植民地支配」「反省」「お詫び」などの文言がちりばめられていますが、日本が「国策を誤り」、「植民地支配と侵略」を行ったという「村山談話」に示された歴史認識はまったく語られず、「反省」と「お詫び」も過去の歴代政権が表明したという事実に言及しただけで、首相自らの言葉としては語らないという欺瞞に満ちたものとなりました。
暴力と強圧をもって韓国の植民地化をすすめた日露戦争を、「植民地支配のもとにあった、多くのアジアやアフリカの人々を勇気づけた」とのべていることは、乱暴きわまりない歴史の歪曲にほかなりません。
全体として「安倍談話」は、戦後50年にあたって「村山談話」が表明した立場を、事実上、投げ捨てるにひとしいものであり、国内外のきびしい批判を招くことは避けられません。
戦後70年の首相談話が、このような有害な内容となった根底には、安倍政権が、侵略戦争を肯定・美化し、歴史を偽造する極右勢力によって構成され、支えられているという問題があります。
戦後の世界秩序は、日独伊3国による戦争は侵略戦争だったという判定の上に成り立っており、それを否定するものは国際政治に参加する資格がないことを、きびしく指摘しなくてはなりません。