とんがっているほうがむしろいいとの風潮--『ザ・ラストバンカー』を書いた西川善文氏(三井住友銀行名誉顧問、前日本郵政社長)に聞く
──UFJ争奪戦でも秘話が。
南麻布にある有栖川清水という料亭でUFJのお二方の招きで会食をしたことがある。午後6時半から10時ごろまで。ところが本題を切り出さない。直感的にこれは統合してくれということだなと思ったが、私から言うわけにはいかず……。
──大和証券に心残りは。
むしろ心配しているのはSMBC日興証券。冴えない。旧日興証券のベテランが辞めてしまって。
──日本郵政社長時には政治に翻弄された……。
今になって、郵政株式を売って震災復興の資金にと言っている。上場寸前まで行っていたのに。上場しないで売れるわけはない。今の社長のような大物がやる仕事ではない。現場に入り細かいところまで目を光らせて指示をしていかないと。自ら考えてやろうという体質はない。リスクを取らない官僚体質から抜け切れない。変わってはきているのだろうが。
にしかわ・よしふみ
1938年奈良県生まれ。大阪大学法学部卒業、住友銀行に入行。大正区支店、本店調査部、融資第三部長、取締役企画部長、常務企画部長、専務などを経て、1997年に頭取に就任し、8年間務める。2006年1月に民営化された日本郵政の社長に就任。政権交代で郵政民営化が後退したため09年に退任。
(聞き手:塚田紀史 撮影:梅谷秀司 =週刊東洋経済2011年11月5日号)
『ザ・ラストバンカー』 講談社 1680円 317ページ
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