ウクライナ問題での日本の役割は小さくない

ロシア安定化は北方領土問題解決にも繋がる

おりしも黒海に面したソチでの冬季オリンピックの開催と重なっており(オリンピックは2014年2月7日~23日まで)、1980年のモスクワ・オリンピックに対する西側諸国のボイコットの再現を恐れるロシアは目立つ行動をしないよう控えていたが、オリンピックが終了すると動きだし、ウクライナ南部のクリミア自治共和国をロシアに併合した。

クリミアでの政変は親ロシア派が多いウクライナ東部にも飛び火した。親ロシア派はクリミアにならって独立要求を強めてウクライナ政府と対立し、地方政府の施設を占拠するなどしたため武力衝突に発展した。

これが、ウクライナ紛争の経緯である。

再びEUとの連合協定に署名

ではこの紛争はどのように終息に向かおうとしているのか。

大統領がいなくなったウクライナでは5月、大統領選挙が実施され、少し時間がかかったが6月7日に親欧米派のポロシェンコ元経済発展・貿易相が大統領に就任し、EUとの連合協定に署名した。

ポロシェンコ政権の前途には、東部の親ロシア派の武装抵抗や、経済の立て直しなど課題が山積している。とはいえ、「EU(西側)に傾斜していく」という大きな方向性については、ロシアとしても動かし難くなった。大きな代償を支払った結果として、ウクライナは、以前のように西側とロシアの間を揺れ動く不安定な政治状況から抜け出たのだ。

つまり、ウクライナはクリミア半島を事実上失うことを引き換えにして西側への傾斜路線を固めることができたのだと私は考える。

今後もロシアがウクライナの隣国であることに変わりはない。エネルギーや少数派(親ロシア派)の扱いなどさまざまな側面で問題が発生することはあろうが、西側への傾斜路線が確定したウクライナの政治を根本から揺れ動かすような事態になることはないだろう。

ロシアの側から見ると、クリミア併合は同地で多数を占めているロシア系住民の要望に応えた以上の意味があった。すなわち、クリミアの主要都市であるセバストポリにロシアは重要な軍港を置いており、ウクライナが西側になびくと、その一部であるクリミアも、そしてまたセバストポリ軍港もNATOの影響下に入ってしまうという問題があった。ロシアはクリミアを併合することによりこれを阻止したのだ。

ロシアは無償でクリミアを手に入れたのではない。西側はこのようなロシアの行動を強く非難し、制裁措置を課した。ロシアの主要な輸出品目であるエネルギーの価格は低下し、ルーブルの価値が下落するなど経済的な困難が増大していたなかで西側から受けた制裁はロシアを苦しめている。

また、これによってウクライナの西側傾斜が止められなくなったとすれば、支払った代償はもっと大きかった。しかし、プーチン大統領は、あえてその大きな代償を支払った。

今後を見据えた場合、ロシアと西側との間に残る最大の懸案は、東部ウクライナの親ロシア派に対するロシアからの武器支援である。これがくすぶっている限り、この地に平和は訪れない。

去る6月、国連人権高等弁務官事務所はウクライナ東部の紛争により2014年4月以来6000人を超える死者が出たと発表した。その大部分は、戦闘の巻添えとなった人たちである。

この事実を前にして、ロシアとしても停戦の必要性は認めざるをえない。2014年9月、ロシアはベラルーシの首都ミンスクで、ウクライナ(政府)、親ロシア派および監視役のOSCE(欧州安全保障協力機構)の代表とともに停戦に合意したが、東部ウクライナでの戦闘行為はその後も止まなかった。

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