だからインスタグラムはSNSの勝ち組になる 「ノロマ戦略」が功を奏するワケ
「今後数カ月内に、インスタグラムの広告をより多くの広告主が使えるようにする。新たなフォーマットにし、ターゲティングの精度を改善し、その場で(利用者が)購入できる機能も追加する」
7月29日に開かれたフェイスブックの2015年第2四半期(4~6月期)のカンファレンスコール。シェリル・サンドバーグCOOは“珍しく”インスタグラムについて言及した。
2012年に、写真・動画共有サイトのインスタグラムを10億ドルで買収してから3年。当初は「高すぎる買収」と言われていたが、月間アクティブユーザー数がツイッターのユーザー数を超えたあたりから「意外に安い買い物だったかもしれない」と、同社への評価は一変。今や3億人の月間アクティブ利用者を抱えるインスタグラムへの関心は、フェイスブックのアナリストの間でも高いが、実はこれまでフェイスブック経営陣が多くを語ることはほとんどなかったと言っていい。
広告収入は2年で4.6倍に?
それが突然、サンドバーグCOOがインスタグラムに言及したのは、同社の広告事業が遅まきながらも、徐々に拡大していることが背景にありそうだ。インスタグラムは2014年に本格的に米国で広告配信を開始。これまでにカナダやドイツ、フランス、日本など8カ国で広告展開している(日本では今年5月から)。
広告クライアント数は明らかにしていないが、「小売りやエンターテインメント、消費財からマクドナルドやスターバックスのような外食企業までさまざまな産業の企業が利用している」(インスタグラムのマーケットオペレーションズ部門部長、ジム・スクワイヤーズ氏)。
広告収入も順調に伸びているようで、米国のマーケティング調査会社eMarketerが7月末に発表した調査によると、インスタグラムの今年の広告収入5.9億ドルに達し、2017年には28.1億ドルに膨らむ見通しだ。
数字だけ見ていると急激な成長に見えるが、フェイスブック自体は「インスタグラムがわれわれ(の業績)に大きなインパクを与えるのはまだ先の話」(サンドバーグCOO)と、同社を急成長させようという気はない。
言い換えれば「インスタグラムはフェイスブックの広告のエコシステムを利用できるだけでなく、(画像・映像共有サイト)ピンタレストと違って、投資家からの時間的および金銭的なプレッシャーがない」(米ハイテク調査会社フォレスター・リサーチのアナリスト、エルナ・アルフレッド・リオウサス氏)。これこそ、まさにインスタグラムの最大の強みと言っていいだろう。
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