ロシア鉄道は日本の何を狙っているのか

「プーチンの右腕」が明かした目的の一端

ロシアでは現在、モスクワ―サンクトペテルブルグ間、モスクワ―ニジニノヴゴロド間の在来線に時速250キロメートルの高速列車「サプサン」が運行している。さらに、モスクワ―サンクトペテルブルグ間では時速400キロメートルの高速新線も計画中だ。

このうちモスクワ―カザン間については、中国企業が主体のコンソーシアムが落札している。モスクワ―ソチ間、モスクワ―エカテリンブルグ間の高速新線と合わせ、2018年夏にロシアで開催されるサッカー・ワールドカップまでの完成を目標としている。

隣国のカザフスタンにも、首都アスタナと中国国境に近い経済都市アルマティを結ぶ高速鉄道計画がある。「ロシアのエカテリンブルグとカザフスタンのアスタナとの間に高速鉄道を建設し、モスクワから中国国境まで高速鉄道で結ぶというプランを、カザフスタンや中国と話し合っている」(ヤクーニン氏)。

この構想はさらに発展する可能性を秘めている。「実現すれば、北京からモスクワ、さらにパリ、ロンドンまでつながる可能性がある。それはヨーロッパとアジアを横断する開発ベルトだ。鉄道だけでなく、電力、自動車道路も含めて、沿線地域の発展を促すことになる」(同)。

ヤクーニン氏によると、極東にも高速鉄道のプロジェクトがあるという。ハバロフスクとウラジオストクを結ぶ構想だ。もし建設される場合は「日本の新幹線システムが候補になりうる」とし、「日本はこのような大型プロジェクトに投資すれば、デフレから脱却できる」と技術提供や投資に期待を示す。

シベリア鉄道の近代化が俎上に

一方、ウラル以東には、シベリア鉄道やバイカル・アムール鉄道などの主要路線がある。特にロシアを横断して極東と欧州を結ぶシベリア鉄道は、貨物輸送の大動脈である。日本からモスクワまで海上なら35~40日かかるのに対して、シベリア鉄道を使えば約25日。輸送時間は驚くほど縮まる。

1970~80年代、シベリア鉄道の貨物ユーザーはほぼ100%が日本企業だったという。だが、1990年代のソ連解体に伴う混乱でトラブルが頻発。これを嫌った日本企業の多くが、現在は海上輸送を選択している。代わって大口ユーザーに踊り出たのが韓国企業だった。近年では中国企業の台頭もめざましく、日本企業が撤退したにもかかわらず、シベリア鉄道の輸送量は年を追うごとに増えている。

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