立ち食いそばに「100万円の机」実現させた発想法 「ルールよりゴール」で新しい発想が生まれる
でも結果的にこの施策はやらなかった。「それ、いいですね!」という関係者の情熱がないと、この手のアイデアは絶対に角がとれて丸くなる、丸くなると面白みがなくなって話題にならないからだ。でもそうした壁を突破して、世間でできっこない! と言われることを、緻密に考えて実現できると、大きく広がる。
サントリーのお茶「伊右衛門」はその好例だろう。あの名前は、発売当時「他にない変わった名前」だったけれど、それでいけるとサントリーは覚悟を決めて勢いよく進んだ結果、変わった名前はオリジナリティを生み、長年愛されるものとなっていった。本気で人の心を動かしたいなら、目的を見定めた上で、常識から逸脱して考えるといいのだ。
できそうなことから「そんな馬鹿な!」まで考えて、一番、心が動くものを探し当てよう。
セッションは、一番遠いヤツと
「え、マジで!?」「なるほど! いいね」が成立する一番遠いコラボ先を探せ
ビジネスの企画でコラボレーションのアイデアが出る場合、そのほとんどは「関係しそうな領域」とのコラボである。僕は、経営者とのミーティングや新規開発プロジェクトに呼ばれて、アイデアのスパーリングに付き合うことも多いが、聞かされるのは「似ている分野でイケてる相手と組む」話ばかりだ。
先日も飲食経営の会社に呼ばれ、新規事業領域の話でそのパターンになった。その時、僕がストレートに打ち込んだのが「一番遠いと思う領域の会社とコラボしましょう」だった。
考えてもみてほしい。音楽とファッションとか、飲食と地域企業とか「似ている感じのブランド」「近しいけどまだやってなかった企業」とコラボするのは選択肢の一つだが、世間はあまり驚かない。往々にして「企業の格として同じぐらいの……」という話がでてくるし、同格のイケてるところを求めるのでエッジが立たないのだ。
例えばキリンがPlan・Do・See(編集注:ホテルやレストラン等の運営企業) と組んでも「へえ……」で終わるし、一見遠そうでもアップルとナイキでは(Apple Watch Nike のように)相性が良すぎて、「いかにも組みそうな感じだよね」になる。
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