立ち食いそばに「100万円の机」実現させた発想法 「ルールよりゴール」で新しい発想が生まれる
できっこない!をやるから流行る
ビジネスのアイデアは、一般的な感覚を逸脱するぐらいでちょうどいい。
ルールや常識に囚われると画期的なアイデアは出なくなる。過去の成功事例やよくあるやり方の模倣も同じく話題にならない。本気で話題にしたかったら、逸脱する勇気が必要だ。
以前、大阪のある老舗ホテルの役員の方から、ランチに人を呼ぶ施策を考えてほしいという依頼があった。ランチの価格はビュッフェスタイルで5000円。家族ユーザーに向けた子どもメニューも充実していたが、もっと話題にする企画を求められた。
提案したのは「リアル子ども目線」にすること。例えば子どもが取りやすい高さに料理を置いたり、文字プレートも下位置に配置するなど、子どもから見てワクワクするビュッフェ体験にするわけだ。子どもが支持する企画は、長い目で見れば大人が家族を連れていきたいレストランになる。
飲食店の企画で大事なのは、何よりも美味しく、食体験そのものが楽しく、そして愛されること。それなくしていくらSNS施策やデザインで凝った世界観を出しても世の中は反応しない。
「そんな馬鹿な」と笑いが起きた
とはいえ、その時は「もっとインパクトのある施策はないですか?」
と聞かれた。意外性のあるコラボ施策などを期待されたのかもしれないが、僕が次に話したのは、「じゃあ1万円付きランチビュッフェやりましょう」だった。ホテルの関係者はみなきょとんとした顔になり、次の瞬間ドッと笑いが起きた。「そんな馬鹿な!」と。
でも僕は大真面目。常識で考えれば5000円のランチで1万円プレゼントしたら大赤字だ。でもPRで何かの看板を制作したり、広告を打てば100万くらい簡単になくなってしまう。その100万円があれば、1万円付きのランチを100食は出せる計算になるから実現は可能。しかもPR効果は絶大。だって食べたら儲かるのだからSNSがお祭りになるのは必至だし、100食の枠を争ってみな殺到し、メディア取材も来るし、メニューの理解も進む。夢のアイデアだ。
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