古くなった山手線はどこで使われるのか

中古車両の意外な「転職先」

205系は山手線のみならず、国鉄時代には京阪神間向け、分割民営化後は横浜線、南武線、埼京線、京葉線、武蔵野線向けなどとしても新製されている。山手線には「6扉車」も増結された(過去記事「ついに東急電鉄も『ホームドア』本格設置へ」も参照)。製造両数は1461両に達している。

なお、鉄道車両は量産の途中で仕様が一部変更されることが多々ある。山手線向け205系は乗降扉の窓が小さく、次の横浜線向けから大きくされた。この「小窓」という特徴は、JR東日本が所有する205系としては、山手線用が唯一持つものであった。

E231系500番代投入で各地へ散る

その後、JR東日本の設備投資方針が固まると、国鉄時代の設計である205系は製造を終了。新設計の209系から、E231系、E233系と改良を重ねつつ、新車の投入が続けられている。しかし、鉄道車両の寿命は30年以上もあるため、205系も引き続き使われた。

ただ、時が経つにつれ、相対的に省エネ性能に劣る古い電車となっていったことは否めない。山手線の高い収益性を保つためには運行経費の削減が必要であり、その一方で103系など、205系以上に運行経費がかかる老朽化した電車の取り換えも喫緊の課題となってきた。

そこで2001年より、当時の最新車両であるE231系500番代を山手線専用として投入。捻出した205系を転用することとなったのである。転用対象となった電車は2001年初めの時点で572両もあり、他線区配置の同型車も含めて、複雑な配置転換が行われた。その際、廃車は1両も出していない。

転用先は、仙石線、武蔵野線、京葉線、埼京線、川越・八高線、南武線、鶴見線、横浜線と広範囲に及んだ。また、山手線時代は11両編成であったけれど、これらの線区では利用者数が少なく、より短い編成で十分なため、大規模な編成組み替えも実施されている。

そうすると、運転台付きの車両が不足するため、中間車に運転台を取り付ける改造も行われた。この工事が行われた代表的なものとしては仙石線向けや鶴見線向けの転用車があり、従来の前面とは違うデザインとなった。

ステンレスは加工が難しいゆえ、この手の改造には一説によると、1両あたり数千万円はかかるといわれている。新製すると電車1両の値段は1億数千万円~2億円程度だから、かなり割高につく工事であるが、それを実施してでもなお、設備投資の抑制を図ったという一面も見逃せない。

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